ソニー株主総会で取締役報酬の個別開示に44.3%の支持


株主オンブズマン
2007年6月22日

 6月21日(木)、ソニー株式会社の第90回定時株主総会がグランドプリンスホテル新高輪で開かれました。株主オンブズマンは、第4号議案に、株主36名の委任を受けて、報酬額上位5名の取締役の個人別の額を毎事業年度の株主総会招集通知の事業報告に記載して開示することを求める株主提案を行っていました。

 第4議案の投票結果は賛成290万7839個、反対365万1662個で、43.3%の賛成を獲得しました。三菱UFJ信託銀行の集計ミスによる昨年総会の修正後の投票結果は賛成 2,638,137個、反対3,655,988個、賛成率41.9%でしたから、昨年比でいえば、賛成率は2.4ポイント、賛成株数は26万9702個の増加となります。6月22日の読売新聞はこの結果を「定款変更に必要な3分の2以上の賛成は得られなかったものの、報酬の透明化を求める株主の声が強まっていることを鮮明にした」と報じています。

 提案理由の説明には会場からこれまでに最も大きな拍手が沸き、総会終了後、他の株主らから「来年は支持するから頑張れ」という激励もありました。

 今年の総会は社員株主による「了解」の唱和と一斉拍手による旧来型の議事進行が目立ちました。また、スクリーンを使った商品宣伝と、ストリンガーCEOの報告と回答の通訳に多くの時間を費やしたために、例年よりも会場の質問の機会を与えられた株主の人数は少数だったように思います。それでいて、このところ恒例になっていた株主懇談会は「総会の発言者が多くなり、別に懇談会を開く意味がなくなった」ことを理由に今年は中止されました。

 また今年は例年と違って開会前に質問用紙が配布され、それを集めていくつかに回答がされました。しかし、会社にとって都合のいい質問が優先された感は否めません。第1会場で最後に指名された2人は、ソニーの経営改革やソニースピリットを持ち上げるサクラのような株主でした。

 他方、まったく許し難いのは総会に先立って私たちが6月18日に送った、4号議案の株主提案に関連する書面質問がまったく無視され何の回答も言及もなかったことです。これは「取締役等の説明義務」を定めた314条に違反しているもので、私たちは厳重に抗議します。参考までに回答がまったくなされなかった書面質問を下に貼り付けておきます。

<ソニーに取締役報酬の個別開示を求める株主提案の賛成率の推移>
2002年 27.2%
2003年 30.2%
2004年 31.2%
2005年 38.8%
2006年 41.9%
2007年 44.3%
(※…女性取締役の選任は17.55%の賛成で翌年実現)

書面質問

ソニー株主会社 会長 兼 CEO ハワード・ストリンガー様

冠省 2007年6月21日開催予定のソニー第90回定時株主総会に際し、取締役報酬の個別開示を求める株主提案を行っている株主グループの代表として以下の質問を行いますので、当日会場にてご回答くださいますようお願いします。

1.本年5月初旬に、昨年同様に取締役報酬の個別開示を求める株主提案を行ったところ、昨年の株主総会における株主提案の投票結果に関し、株式事務を取り扱っている三菱UFJ信託銀行の側で集計ミスがあったという連絡を受けました。集計ミスが判明したのは昨年9月中旬頃であったとのことですが、その時点でただちに開示せず、半年以上も経って、本年の株主提案を受理した後に提案者に知らせるという措置を取ったのはいかなる理由によるものですか。

2.本件の株主への開示は去る5月末日付けで発送された第90回定時株主総会招集通知ではじめてなされたと理解していますが、株主以外のステークホルダーや潜在株主にはどのようなかたちでこの件の開示を行うのでしょうか。

3.委員会設置会社であるソニーでは、報酬委員会が取締役および執行役の報酬を個人別に決定することになっていますが、報酬委員会はどのような原則および基準にもとづいて個人別報酬額を決定しているのかを明らかにしてください。

4.昨年の株主総会における議決権行使株数の集計は、総会当日に行われた議決権行使結果は含まれていますか。もし含まれていなければ、その理由を明らかにしてください。また、昨年の総会当日の投票結果を各議案について明らかにしてください。

5.現行の議決権行使書には各議案とも賛・否を記入する欄しかありませんが、海外機関投資家の中には、所定の議決権行使書によらず、別紙で賛成と反対だけでなく保留を記入して投票している例があると聞いています。これは本当ですか。

6.議決権行使書には、<各議案につき賛否のご表示がない場合は、会社提案には「賛」、株主提案については「否」のご表示があったものとしてお取り扱いさせていただきます>、と記載されています。株主提案について白票を反対とみなす不公平をなくすために、議決権行使書を、賛成と反対だけでなく保留を記入できる形式に改めるべきではないでしょうか。

2007年6月18日

大阪市北区西天満4-6-3 第5大阪弁護士ビル3階
株主オンブズマン代表(関西大学教授) 森岡 孝二


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