大林組に提訴請求通知を送付

2007年11月30日
株主オンブズマン

 本HPにすでに掲載の通り、株主オンブズマンは、大林組の談合事件被告への便宜供与報道について、同社に対して11月20日21日の2度にわたり質問状を送りました。その結果、11月28日に同社から別掲の回答がありました。しかし、その内容は、談合罪で逮捕・起訴された2名の被告の刑事事件手続きにおいて、大林組の顧問弁護士の紹介、保釈保証金相当額の同弁護士への支払い、1名に対する社有車の提供の事実を認めているものの、顧問弁護士の紹介や保釈保証金の支払いを不適切と認めたものではありません。

 私たちは、本年6月の大林組の定時株主総会を前に株主26名の委任を受けて、同社定款に談合防止条文を新設する株主提案を行いました。その後、本会は、同社がその株主提案を受け入れて株主総会で取締役会議案として提案・議決することになったことを評価して、本会が準備していた同社の防衛施設庁、和歌山県トンネル工事、名古屋市地下鉄工事、枚方市第2清掃工場工事などの談合事件についての責任追及訴訟(株主代表訴訟)は見合わせることを表明しました。

 しかし、今回、報道で明らかになった大林組の談合事件被告への金員と便宜の供与と、それに関するは本会の質問に対する同社の回答は、同社が株主や社会に対して談合決別を唱えながら、その裏では談合体質を依然として改められないでいることを示しています。

 よって、本会は、談合防止センター弁護団と共同して、今回の談合事件被告への金員と便宜の供与問題のみならず、近年の一連の談合事件をも含めて、取締役の責任追及、真相究明及び再発防止のために、会社法第847条にもとづき、大林組監査役に対して損害賠償請求訴訟の訴えを起こすことを求める通知を送付しました。

 この提訴請求書が大林組監査役に送達されたのち60日以内に同社おいて同趣旨の訴えを提起しないときは、株主代表訴訟を提起することになります。



提訴請求書

 冠省、益々ご清栄のことと存じます。
 当職らは貴社の株式を6ヵ月以上前より1000株保有している、(原本ではここに住所を表記)、森岡孝二氏の代理人です。
 貴社は、平成17年12月には貴社も含む大手ゼネコン各社による談合訣別宣言を行い、また、本年6月の株主総会では談合防止条項を新たに定める旨の定款変更を行っています。 にも拘らず、貴社の株主オンブズマンへの平成19年11月28日付の回答によれば、貴社は、貴社の顧問であり関西における建設談合を取り仕切ってきた山本正明氏並びに森井繁夫氏の、枚方市発注の第2清掃工場の入札をめぐる談合罪(競売入札妨害罪)の刑事事件につき、金員、便宜の供与を行っていたことが明らかになりました。
 談合訣別宣言や定款変更による談合訣別の意思は、口先だけの言葉であったとしか考えられません。
 旧顧問の刑事事件についての供与のみならず、反復、継続してなされてきた談合事件についての事実を解明し、貴社の役員の責任を明確にすることなしには、談合体質からの真の訣別はありえないと判断されます。
 よって、当職らは株主である本人を代理して、以下の件につき各事件が発生した当時在任していた取締役並びに執行役、監査役(以下役員といいます)を被告にして損害賠償請求を提訴されるよう求めます。

(1) 旧顧問である山本正明、森井繁夫両氏の刑事事件についての供与について
 貴社の顧問として枚方市の前記発注工事の入札において談合を行い、逮捕、起訴された両氏は、その行為により貴社の社会的信用を著しく毀損したものです。
これに対し、その刑事事件において便宜を供与し、あるいはこれを未然に防止するための 措置をなさなかったことは、役員としての善管注意義務に違反するものです。
 よって、両名の刑事事件の弁護士報酬として、貴社の顧問弁護士に対して支払われた額(計300万円を下まわることはないと考えます。)、顧問弁護士に対し両名の保釈保証金として貸与した金員についての利息相当損害金(返還の期日は未定ですが、少なくも100万円を下まわることはないと考えます。)、大阪地裁に出頭する際の社有車の提供による損害(計10万円を下まわることはないと考えられます。)、並びにこれら金員、便宜を供与したことにより貴社の社会的信用が失墜したことによる損害(1億円を下まわることはないと考えます。)について、それぞれの行為がなされた当時に在任した役員全てを被告にして、少なくも1億410万円の損害賠償の訴えを提訴するよう求めます。

(2) 枚方市発注の第2清掃工場入札の談合行為
貴社の顧問であった山本正明氏、森井繁夫氏は、2005年11月10日になされた枚方市発注の第2清掃工場建設の入札に、大林組と淺沼組の共同企業体(JV)落札できるよう談合した件で、刑法の談合罪(競売入札妨害罪)で逮捕、起訴されています。
 この件により、貴社は国や地方自治体から指名停止処分を受けるとともに、信用を失墜しているものです。指名停止並びに信用失墜による損害は、5億円を下まわるものではありません。
 よってこの談合がなされた当時の役員全てを被告として、この談合行為に関与または善管注意義務を懈怠したため未然に防止できなかった責任に基づき、5億円の損害賠償請求をなすことを求めます。

(3) 旧防衛施設庁が発注した特定土木建築工事の入札についての談合行為
貴社は、上記工事について2004年以降受注予定者を決定し、予定者が受注できるようにすることにより公の利益に反して競争の実質的な制限を行っていたとして、公正取引委員会より2007年6月20日に排除措置命令、課徴金納付命令を受けています。
課徴金8190万円に相当する損害、並びにこの行為により指名停止、営業停止を受けたことの損害、並びに信用失墜したことによる損害は合計10億円を下まわるものではありません。
 この談合がなされた当時の役員全てを被告として、この談合行為に関与または善管注意義務を懈怠したため未然に防止できなかった責任に基づき、10億8190万円の損害賠償請求をなすことを求めます。

(4) 新潟市発注の下水道推進工事及び建築工事の入札についての談合行為
貴社は下水道推進工事については遅くとも1999年4月1日以降、建築工事については遅くとも2002年5月2日ころ以降、談合により公の利益に反して競争の実質的制限を行ったとして、公正取引委員会により平成19年9月7日、同意審決がなされています。 この談合行為による貴社の指名停止、並びに信用失墜による損害は計5億円を下まわるものではありません。
 この談合行為がなされた間に在任していた役員全てを被告にして、この談合行為に関与または善管注意義務を懈怠したため未然に防止できなかった責任に基づき、5億円の損害賠償の訴えを提訴することを求めます。

(5) 和歌山県発注のトンネル工事についての談合行為
 平成16年に入札がなされた上記工事につき貴社の元顧問が談合罪で起訴され、有罪の刑事判決が確定しています。
 この談合罪の件により、貴社は公正取引委員会より指名停止、国交省等より営業停止の処分を受けるとともに、信用を失墜したもので、それによる損害は5億円を下まわるものではありません。
 この談合行為がなされた当時の役員全てを被告として、この談合行為に関与または善管注意義務を懈怠したため未然に防止できなかった責任に基づき、5億円の損害賠償請求の訴えを提訴することを求めます。

(6) 財団法人東京都新都市建設公社発注の土木工事についての談合行為
 貴社は、遅くとも1997年10月1日以降2000年9月27日までの間、新都市建設公社が発注する特定土木工事について、談合により受注決定者を定め、予定者以外の者は受注予定者がその定めた額で受注できるようにして競争を実質的に制限していたとして、2001年12月14日公正取引委員会より2043万円の課徴金納付命令を受けています。
 課徴金2043万円の損害、並びにこの行為により指名停止を受け、信用を失墜したことによる損害は5億円を下まわるものではありません。この談合行為がなされた当時の役員全てを被告として、この談合行為に関与または善管注意義務を懈怠したため未然に防止できなかった責任に基づき、5億円の損害賠償請求の訴えを提訴することを求めます。 なお、この提訴請求書が送達されたのち60日以内に貴社において前記各損害賠償の訴えを提訴しないときは、当職ら本人を原告として株主代表訴訟を提訴することになりますので、御了承ください。
 以上、要用のみにて失礼致します。

平成19年11月30日

大阪市中央区大手前1−7−31
OMMビル5階
森岡孝二代理人
弁護士 辻 公雄

大阪市北区西天満3−14−16
西天満パークビル3号館8階
同            
弁護士 阪口 徳雄

堺市堺区中瓦町1−4−27
小西ビル6階
同          
弁護士 松丸 正

大阪市中央区北浜東4番33号
株式会社大林組
監査役 西村 正殿
 同  松尾 政和殿
 同  安井 俊六殿
 同  松下 正幸殿
 同  津田 尚廣殿


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