ソニー株主総会における取締役報酬の個別開示を求める株主提案の結果について

2008年6月20日
大阪市北区西天満4-6-3 第5大阪弁護士ビル3階
株主オンブズマン代表(関西大学教授) 森岡 孝二


 私たちは、本年6月20日のソニー定時株主総会に、株主82名、合計2316個(うち有効とされたのは64名、1781個)の委任状を添えて、報酬額上位5名の取締役の個人別報酬額を開示することを求める株主提案を行いました。
 私たちは2002年から本年とほぼ同趣旨の株主提案を行い、次第に支持を広げ、昨年の総会では議決権行使株数の44.3%の賛成を得ることができました。今年はぜひとも過半数の賛成を得たいと考えていましたが、結果は残念ながら、賛成266万0692票、反対404万7723票で、4割(39.7%)の賛成に留まりました。
 取締役会は取締役報酬については総額を開示する現行方式で十分だとしています。20日の総会ではストリンガー氏は「報酬を個別開示しないことは日本文化であって尊重したい」と繰り返しました。中鉢氏は「現在の総額開示で株主の関心に十分に答えており、業績との連動性も示されている」と答弁にならない答弁をしていました。
 しかし、2008年度の営業報告書の記載を見ても、後掲のように、3名の退職金2700万円を別とすれば、取締役および執行役に総額21億9400万円(定額報酬12億2000万円+業績連動報酬9億7400万円)を支払ったこと、その総額は昨年度の18億3200万円より、3億6200万円大きいこと、社外取締役(11人)は1人当たり1500万円であることくらいしかわかりません。CEOをはじめとする執行役兼務取締役3名の報酬額は、総額でも個別でもまったく不明です。

取締役および執行役の報酬等の額  単位(名 100万円)
定額報酬業績連動報酬退職金
人数 支給額 人数 支給額 人数 支給額 
取締役11165327
(うち社外)(11)(165)(―)(―)(―)(―)
執行役710557974  
合計1812207974327
(出所)第91回定時株主総会招集通知35ページ

 総会における提案理由の説明では、まったくの仮定による推定として次のように言いました。すなわち、定額報酬と業績連動報酬の総額、21億9400万円は、ストリンガー氏10億円、中鉢氏5億円、井原氏3億円、他の執行役8200万円、社会取締役1500万円と推定することも可能です。この場合、総額は21億9300万になります。もしこれが違うというなら、この総会の場で執行役兼務取締役3名の報酬を個別に開示していただきたい、と。当然ながらこれについては取締役会からは何もコメントもありませんでした。
 賛成率こそ下がりましたが、議場における質疑応答では柚岡さんが第2会場で株主提案を支持する発言をしたほかに、数人の株主から取締役報酬の個別開示に賛意を示す質問や意見表明がありました。それらに対する拍手もこれまでになく大きかったという印象をもちました。常連の出席株主のあいだには着実に指示が広がっているように思います。
 来年も個別開示の株主提案をするかどうするかは、いろんな角度から検討する必要がありますが、いまでは株主オンブズマンの株主提案がソニー株主総会の華になっていることを考えると、戦略を練り直して継続するべきなのかもしれません。


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