日本経団連に企業献金の廃止を求める要望書を送付しましたので、以下にその内容を掲載します。なお、日本経団連の副会長15名(経団連HP参照)にも母体企業宛に同文の要望書を送付しました。

2009年9月13日
株主オンブズマン


企業献金の速やかな廃止を求める要望書


 日本経団連会長 御手洗冨士夫殿

 先の総選挙で民主党が圧勝し、政権交代が行われました。民主党はマニフェストで「政治資金規正法を改正し、その3年後から企業団体の献金及びパーティー券購入を禁止する」と公約しています。こうした政治情勢を受けて、わたしたちは企業による政治献金(以下、企業献金)の廃止を求めてきた市民団体として、貴会にあらためて企業献金およびその斡旋を速やかにやめることを要望します。

   貴会の前身の経団連は、1993年9月に「企業献金に関する考え方」という文書を発表し、会員企業に対する企業献金の斡旋を中止して、企業や業界団体の自主的判断に委ねるようになりました。それはリクルート事件、ゼネコン事件、東京佐川急便事件などで「企業献金は政治腐敗の温床」という批判が高まってきたことに応えたものでした。

 その後、1995年には政党助成法が施行されて、国の財政から国民1人当たり250円、総額300億円を超える政党助成金(2009年は約319億円)が共産党を除く各政党に交付されるようになりました。これは企業献金をなくしクリーンな政治を実現するという含みをもっていました。

 ところが、貴会は、2004年以降、各党の政策を貴会の「優先政策事項」に基づいて評価し、献金額の目安を定め、献金を促すというかたちで、企業献金の斡旋を再開し、実行してきました。自民党に約29億円、民主党に8000万円という最近の実績から見ると、この「政策評価」という通信簿方式の実際の意図は、政権党であった自民党に献金することによって財界の要求を実現することにあったと考えられます。

 民主党を中心とする政権が誕生した今では、野に下り「死に体」同然となった自民党に企業献金を続ける理由は、名実ともなくなりました。また「政策評価」という手法を踏襲するならば、「死に体」的野党自民党に巨額の献金を続けることになります。このような「政策評価」による献金手法は完全に破綻しています。

 かといって、企業献金の廃止を公約に掲げている民主党に献金をするというのも筋が通りません。

 そもそも参政権は、国民主権である以上、憲法上からも個人にのみ認められているものです。その意味で企業献金は、国民の参政権を歪めてきただけでなく、産業界と政界の癒着を招き、しばしば政治腐敗の温床にもなり、国の政策にも負の影響力を与えてきました。

 自民党が政権党でなくなったもとで、これまで同様に企業献金を続けることに対しては、株主の間にも広範な疑問や反対があります。また株主にとどまらず、従業員や消費者などのステークホルダーの間にも、同様の疑問や反対が広がっているものと思われます。それゆえに、わたしたちは貴会に対して、今こそ会員企業に対する政治献金の斡旋をやめ、企業献金廃止の英断を下すことを強く要望します。

 なお、わたしたちは、貴会の会長・副会長企業が今後も漫然と企業献金を続ける場合は、広く株主に呼びかけて、関係役員の責任を追及するために株主代表訴訟を提起することも辞さないことを申し添えます。

 
2009年9月13日

株主オンブズマン代表   森岡 孝二(関 西 大 学)
政治資金オンブズマン代表 上脇 博之(神戸学院大学)


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