住友金属代表訴訟和解の概要と意義について

住友金属代表訴訟で和解が成立しましたので、以下にその概要と意義を掲載いたします。
2010年3月30日
株主オンブズマン


住友金属代表訴訟和解の概要と意義について

第1 当事者等
 原告   株主オンブズマン代表森岡孝二外3名
 被告   住友金属代表取締役会長外13名(代表取締役及び担当取締役)
 請求金額 合計78億5681万円

第2 事案(4事件)
 使途秘匿金事件(2006年6月19日提訴・請求金額66億9460万円)
平成11年3月期から同16年3月期までの6年間に合計34億円の裏金を作って、環境プラント工事受注のための地元対策費に費やした。
 住友金属がその使途を明らかにしないため、大阪国税局は、平成17年5月30日、上記34億円を「使途秘匿金」として認定し、更正処分を行なった。
 違法な受注工作に費やした裏金34億円と、それに対する法人税(49.98%)、追徴法人税(40%)、追加課税の地方税へのはね返り分(6.92%)の合計(96.90%)の32億9460万円の合計66億9460万円もの損害を住友金属が被った。
 退職金支給事件(2007年6月18日提訴・請求金額5000万円)
 上記使途秘匿金の支出を担当した従業員はその支出先を黙秘した。ところが、住友金属はその従業員を懲戒せず、通常解雇にして退職金を支給した。
 この退職金は、本来支給するべきではないものを支給したのであるから、住友金属の損害である。なお、その退職金額は、提訴後に2402万円であることが判明した。
 ステンレス鋼板カルテル事件(2006年6月19日提訴・請求金額9億7716万円)
 平成13年9月頃から同15年1月までの間、住友金属外5社(新日本製鉄、日新製鋼、JFEスチール、日本地金工業、日本金属)は、冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯の販売価格を上げるためのカルテルを計4回に渡り締結した。
 公正取引委員会は住友金属に対し、平成15年12月2日に排除勧告を行ない、同17年3月9日に9億7716万円の課徴金納付を命令した。
 住友金属は同金額を納付したが、この課徴金は住友金属の損害である。
 橋梁談合事件(2006年6月27日提訴・請求金額1億3505万円)
東日本の国土交通省地方整備局や日本道路公団が発注する鋼橋上部工事の競争入札において、鋼橋工事業者47社は、長年の間、K会やA会と呼ばれる入札談合組織を構築して違法な談合行為を行なってきた。
 公正取引委員会は住友金属に対し、平成17年9月29日に、同14年4月1日から同16年10月29日までの談合を認定して排除勧告を行ない、同18年3月27日に1億3505万円の課徴金納付を命令した。
 住友金属は同金額を納付したが、この課徴金は住友金属の損害である。

第3 和解の内容 2010年3月30日付で和解成立
 住友金属は、外部委員3名で構成される「使途秘匿金事件等コンプライアンス検証・提言委員会」を設置して提言を受け、1年間を目途に、本件3事件(事案2を除く)の事実関係及び発生原因の再調査並びに実質的な再発防止策の策定を行ない、株主総会で報告するとともに、ホームページで公表する。このコンプライアンス委員のうち1名は原告が推薦する弁護士から選任する。
 被告ら14名は会社に対し、連帯して解決金2億3000万円を支払う(5月末日までに)。

第4 意義
 外部調査委員会を設置して不祥事の調査を行なった上で、実質的なコンプライアンス体制を構築する方法は、昨年6月に大阪地裁で成立した大林組に関する株主代表訴訟の和解以来、日立造船、神戸製鋼所に引き継がれて定着してきた。
 本件では、このモデルを引き継ぎ、更に発展させて、外部委員だけで構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、事実関係を再調査した上で、監査体制を含めたコンプライアンス体制を全面的に見直すことが合意されたものである。
 橋梁談合事件については、東京地裁にて同様の訴訟(三菱重工業、IHI)が係属中であるが、本件和解は、それらの訴訟の帰趨にも影響を与えるものと思われる。


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