4月23日「東京新聞」のソニー役員報酬問題に関する報道について

― ソニーが役員報酬の決め方を一部の株主にのみ説明したことが判明
株主総会で賛成票が過半数に達するのを阻止するための説得工作か? ―

                              2010年4月23日
                         NPO法人 株主オンブズマン

 4月23日の「東京新聞」朝刊によれば、ソニーは、2008年の株主総会前に機関投資家など一部株主にだけ、役員ごとの報酬の計算方法を説明していたことが判明しました。これについて株主オンブズマンは同日、次のようなコメントを発表しました。


<株主オンブズマンのコメント>

 株主オンブズマンは2002年以来7年にわたって、ソニー取締役会に対して役員報酬の個別開示を求める株主提案を行ってきた。2007年には44%の賛成があり、翌年には5割を超えるのではないかと予想されていた。今回明らかになった資料は、そういうなかで、株主提案グループや一般株主には秘密にしたまま、一部の有力機関株主だけに役員報酬の決め方について情報を提供し、株主提案への反対を求めていたことを示すものである。これは株主を差別するものであるだけでなく、株主提案の制度を歪めるもので、強く抗議する。書面質問を行い、回答いかんによっては対抗手段を検討したい。

 ソニーが一部の機関株主に「会社業績による評価」と「賞与の業績連動」について資料を提示したのは、われわれが役員報酬の総額を開示するだけでは個々の役員の貢献度や会社業績との連動の割合は判らないと主張してきたことへの対応だと考えられる。しかし、これによっても、結局は会長、社長、執行役それぞれの報酬額は不明で、役員報酬を個別開示をしたことにはならない。金融庁が決定した上場企業の役員報酬開示制度に照らしても、ソニーの役員報酬決定の秘密主義は時代遅れになっている。


なお、ご参考まで、以下に該当記事及び関連記事を引用します。

<東京新聞の記事 2010年4月23日 朝刊>

 ソニーが2008年の株主総会前に機関投資家など一部株主にだけ、役員ごとの報酬の計算方法を説明していたことが分かった。ソニーは大阪市の市民団体「株主オンブズマン」の株主提案で個別役員報酬の開示を求められていたが拒否。総会で提案は否決されたが、公平な情報開示を行わなかったソニーの姿勢が問われそうだ。 

 ソニーが一部株主に説明した計算方法によると、ハワード・ストリンガー会長の場合、売上高などグループ全体の業績に応じ報酬が変動。ほかの役員はグループ全体と担当部門の業績を半分ずつの割合で報酬を決める際の評価の対象にしていた。説明を聞いた投資家は「大まかな個々の報酬額を割り出すことができた」と話す。ソニーは株主オンブズマンには説明していない。

 株主オンブズマンは02年から08年まで個別役員報酬の開示議案をソニーの株主総会で提案。いずれも否決されたが、07年は開示への賛成票が40%に達した。一方、ソニーから個別に説明を受けた投資家は「計算方法を説明するから個別報酬開示の提案に反対してほしいと要請された」と証言。ただソニーはこれを否定する。

 08年6月時点のソニーの役員数は18人で、報酬総額は年21億9400万円。一人当たりの平均は1億2000万円。個別の役員報酬開示を求める投資家に応え、金融庁は10年3月期の有価証券報告書から1億円以上を受け取る役員の個別開示を義務付ける。ソニーは「一部の機関投資家に会い、会社の考えを説明したのは事実。これまでも問い合わせがあれば、役員報酬の計算方法を説明してきた」(広報センター)としている。


<同紙経済面の関連記事>

透明性と公平性疑問 株主提案制にもゆがみ

 ソニーが、役員の個別報酬に関する情報を株主間で差別して提供していた。役員報酬に関する透明性の向上を求める声は海外でも強まっている。ソニーに対し、株主オンブズマンは「ソニーは日本を代表するグローバル企業。積極的な情報開示を求めたい」と話している。

 株主オンブズマンは、ソニーに個別の役員報酬の開示を求めてきた理由について「国際的企業の代表としてソニーの経営の透明性を確保する狙いがあった」と説明。これに対し、ソニーは「強制的な個別開示には反対だ」と主張する。

 表面的には個別開示を拒否してきたソニー。だが、2008年には役員報酬の情報で一部投資家を優遇していたことが分かった。

 株主オンブズマン代表で、関西大の森岡孝二教授は「ソニーは一部の投資家だけに情報を提供することで株主を差別しただけでなく、結果的に株主提案の制度もゆがめた」と批判。ソニーに対し、一部投資家に特定の情報を示した理由を尋ねる質問状を送付することも検討している。

 不特定多数の投資家から資金を集める上場企業にとって経営の透明性と公平な情報開示は重要。米国は報酬額の多い上位5の役員報酬の個別開示を企業に義務付けている。「個別開示がないと、業績に適した報酬が経営者に払われているかどうかという株主のチェックが難しくなる」との指摘もある。

 ただ、個別開示により役員報酬が興味本位で注目される懸念の声もある。いずれにせよ「ソニーは外国人株主が四割を占める国際企業。こうした企業はより高い経営の透明性が求められる」(外資系証券関係者)との声は多い。(桐山純平)




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