以下は3月8日、東京地裁であった日航障害者雇用裁判の第1回弁論における原告代表の意見陳述
です。

日本航空に対してなぜ株主代表訴訟を提起したか
 
  障害者雇用促進法によって、民間企業は業種別の除外率で算定された除外労働者数を差し引いた常
用労働者数の1.8%以上の障害者を雇用することが義務づけられています。株主にとっては会社がこ
の法定雇用率を達成しているかどうかは法令遵守と社会的責任の観点から重大な関心事であります。
 私は日本航空の株主として、昨年6月の定時株主総会に出席し、障害者雇用状況について質問しま
した。その結果、当社の1999年6月1日現在の障害者雇用率は1.29%であり、不足人数に応じて支払わ
れた1998年の障害者雇用納付金は4600万円に達していることが明らかになりました。
 労働省の発表では、1999年6月1日現在の民間企業の実雇用率は全規模平均で1.49%、1,000人以上
規模の平均で1.52%でした。企業監視の市民団体である株主オンブズマンが昨年行った上場企業399社
を対象とした調査では、回答企業247社の平均実雇用率は1.56%となっています。日航の雇用率はこれ
らの数字のいずれをも大きく下回るものです。

 さきの株主オンブズマンの調査では、法定雇用率が1.6%であった1997年度で123社が総額6億9973万
円の障害者雇用納付金を支払っており、個別企業の納付金の最高額は2850万円でした。日航の4600万円
(後の回答では4625万円)はこの最高額の1.6倍強であることから、おそらく同規模企業のうちでは例
外的に多額の納付金を支払っているものと考えられます。
 納付金制度は、法定雇用率を達成していない事業主から不足人数に応じて一定金額を徴収し、それを
財源として法定雇用率を超えて障害者を雇用する事業主に調整金や助成金を支給するという点で、障害
者雇用に関する社会連帯責任の制度であり、その意味で納付金は、負担金や罰金や税金とは性格を異に
すると言われています。しかし、納付金の性格のいかんにかかわらず、1976年に民間企業の障害者雇用
が義務化されると同時に納付金制度が創設されて以来、日本航空の経営者が20数年の長きにわたって法
定雇用率を大きく下回る状態を放置して、漫然と多額の納付金を支払い続けてきたことは、善良な管理
者としての注意義務に違反し、かつ納付金相当額の損害を会社に与えてきたものと言わなければなりま
せん。
  私は本裁判を通じて障害者雇用に関する日本航空の経営者の責任を追及し、当社が障害者の雇い入れ
計画を策定し、速やかに法定雇用率を達成するよう求めるものです。なお、最後に、私は心臓弁膜症で
人工弁をもつ1級障害者であり、障害者雇用の問題は他人ごとでないことを申し添えます。

                                         2000年3月2日
                                            たんぽぽ投資クラブ代表者
                                                          森岡孝二