野村證券株主総会損害賠償請求事件判決についてのコメント

 株主オンブズマンのメンバーである原告が提訴した、野村證券を被告とする、同一日時株主総会開催
と代理人出席拒否に対する損害賠償請求事件の判決は、本年3月28日午後1時15分神戸地方裁判所
尼崎支部で出されました。結論的には、原告の請求が棄却されましたが、むしろ、この判決はつぎの2
つの点において、総会屋対策のための株主総会が開かれた株主総会への一歩となる判決と評価できます。

第1は、
判決は、代理人としての弁護士の総会出席を拒否することは、「総会がこの者の出席によって攪乱され
るおそれがあるなどの特段の事由がない限り、合理的な理由による相当程度の制限ということはできず
、定款の規定の解釈運用を誤ったものというべき」としています。
 即ち、会社が代理行使の申出を拒否したことは、定款の解釈運用を誤ったもので商法239条2項に
違反するとしています。
この判決によって、代理人が総会攪乱を意図する総会屋等でない限り、代理出席が認められることにな
ります。弁護士、公認会計士等の専門家等の代理出席により、株主総会の活性化への一歩が開かれた
のです。六親等の親族らの代理出席も攪乱のおそれがない以上、当然に認められることになります。

第2は、
 同一日時開催につき、ある特定の会社と意を通じ特定日に株主総会を開催することとしたなど、会社
の開催日決定の裁量権を逸脱する特段の事情があったときには、違法となるとした点です。
この判決によると、業界内で意を通じて同一日同一時間に開催ということを立証出来れば、違法になる
可能性があることになります(実態は業界で画一的に意思統一していると思われます)。
いずれにしても、多くの株主が参加しやすいように株主総会を開催することは、株主、社会から期待さ
れていますが、仮に、やむを得ず同一日同一時間に行うことになったとしても、株主以外の者の代理出
席を認めることが、法的に上場企業にも求められていることが確認された判決といえます。

 なお、株主オンブズマンは開かれた株主総会のために、従業員が議場の前に陣取り、「異議なし」
「了解」という大声を張り上げ一般株主の発言を封じていることは違法として提訴し、そのような総会
のあり方は違法という旨の大阪地裁、大阪高裁判決(住友商事判決)をとりました。これが株主総会の
実務を変えさせました。今回の判決の趣旨を尊重し、上場企業はより一層開かれた株主総会に一歩でも
二歩でも近づくよう改善されることを期待してやみません。

                                            2000年3月28日
             
                                         株主オンブズマン
                                           代 表   森 岡 孝 二
                                           原告弁護団一同
◆判決文全文は、専門情報ページの(情報番号.2123)に掲載しています。