三菱自工のクレーム隠しに対する株主代表訴訟についてのコメント

                    ―消費者型株主代表訴訟―

  2000年12月8日、三菱自工の30年間にわたるクレーム隠しについて、株主代表訴訟の通知文を監査役に対して発送しました。

 この代表訴訟の目的は、

  @ 30年にわたるクレーム隠しが何故長期間にわたって続けられてきたのか。三菱自工の企業の体質に原因があるのではないのか。
   その原因が株主、消費者に情報が開示されていない。その情報開示のあり方を問う裁判でもあります。

 A 30年間にわたるクレーム隠しのために、三菱自工に100億円を超える損害が発生した。しかるに会社は、役員の辞任と報酬の
   カットで責任を取ったとしている。
   しかし、巨額の損害を発生させた企業のトップの責任はこれだけで十分かどうか、取締役の責任のあり方を問う裁判です。

  消費者の立場を代弁しての、企業に対するその情報公開、役員の責任のとり方についての株主代表訴訟は初めてです。消費者型
 株主代表訴訟と呼んでいます。 

 是非多くの関係者の支援をお願いする次第です。

提 訴 請 求 書

 当職は貴社の株式一○○○株以上を保有している株主の代理人です。
貴社にとって、その製造した自動車の安全性のための品質管理を徹底することは、自動車を購人したユーザー(消費者)に対する最
大の責任であるとともに、自動車メーカーとしての企業存立の基礎でもあります。

 ユーザーからのクレーム情報から、製造した自動車の欠陥を把握し、監督官庁は勿論、ユーザーに情報開示し、適時に不良部品の
無償回収や修理等のリコール業務を行なうよう最大限の注意義務を尽くすことが、貴社の取締役全員に課せられた善管注意義務の内
容となることは言うまでもありません。

 しかるに貴社は、少なくとも一九七七年以降、運輸省のリコール業務についての定期検査に際し、ユーザーのクレーム情報の大半を
隠ぺいし、その数は一九九八年四月以降のものだけでも約六万五千件にもなっています。右隠ぺいによる虚偽報告は、道路運送車両
法第六三条の4一項、同法第一一○条一項八号に違反するものであり、刑事処罰の対象となる行為です。
 また貴社は、リコール制度の発足した一九六九年以降、一九九五年に道路運送車両法でその行為が行政罰をもって禁じられたのちも
継続的に、設計や製造過程に原因のある安全上の欠陥について運輸大臣に届け出なしに内密に保安基準に適合させるための回収、修
理等の改善措置を行なってきています。右リコール隠しは、道路運送車両法第六三条の3一項、同法第一一一条の二に違反するもので
あり、つぎの届け出なしに改善措置をなした違反行為に対して計四○○万円の過料を支払えとの決定が、本年一○月二日東京地方裁判
所により下されています。

(一)横揺れ減少装置の形が不適切でタイヤが損傷しやすい大型バス「ふそうエアロクイーン」「ふそうエアロバス」計四七二台(回収・修理
   時期=一九九八年九月から)。
(二)自動変速装置内の部品に不具合が生じて走行不能となる欠陥がある乗用車「デボネア」計一四三台(同九八年一一月)。
(三)ブレーキパイプ組み付けが不適切で制動力が低下する恐れのある小型バス「ふそうローザ」計三三台(同九八年一二月から)。
(四)タイヤの動力を伝える装置の部品がはずれ、走行できなくなる欠陥のある大型トラック「ふそう」計一五二台(同九九年暮れから)。
 これら道路運送車両法違反の行為により、貴社の製造する自動車の安全性に対する消費者の信用は地に落ちており、右違反行為が
 社会的に明らかになったのちの本年一○月度の新車販売台数は、前年同月比で二七・七%減の一万五千台と大きく減少しています。
 また右違反行為により失った社会的信用を回復するため、貴社は本年一一月から貴社の費用負担で貴社製造自動車六○○万台を対
 象に「安心サポー卜プログラム」と称して無料点検と無料オイル交換等のサービスをするとのことであり、これに要する総費用は一○○
 億円に近い金額となります。
 更に各省庁並びに自治体等で、右違反行為を理由に公用車の入札につき貴社を指名停止処分とする動きがありますが、これによる損
 害も一○億円を下回らないものです。
  これら右違法行為の結果生じた売上減による損害、「安心サポートプログラム」による損害、指名停止処分による損害並びに前記過料
 四○○万円、並びに検査時におけるクレーム情報の隠ぺいという虚偽報告に対して予測される罰金相当額等を合計すれば、その損害
 額は一〇〇億円を大きく上回るものです。

 右違反行為は、貴社の少なくとも一九九五年以降現在まで在任した代表取締役社長、並びに品質技術本部長担当取締役をはじめ、全
ての取締役の善管注意義務違反により生じたものです。
よって当職は当方本人を代理して、貴社に対し一九九五年以降現在までに在任した全ての取締役に対し、右違反行為による右損害額に
ついての損害賠償請求の訴を本書面送達後三○日以内に提訴することを求めます。
右期限までに提訴のないときは、当方本人において商法第二六七条に基づき株主代表訴訟を提訴致します。
右要用のみにて失礼致します。
二○○○年一二月八日

代理人弁護士 

東京都港区芝五丁目三三番八号
三菱自動車工業株式会社
監査役 露野孝彦 殿
監査役 静川靖敏 殿
監査役 若井恒雄 殿
監査役 南條 宏 殿


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