熊谷組株主代表訴訟書面通知について

ゼネコンの準大手『熊谷組』は、1996年3月以降、事実上の欠損状態にも関らず自民党の政治資金団体に献金しています。
これは、取締役の注意義務違反に反するとして、株主オンブズマンの会員で大阪府在住の同社の株主が、熊谷組の監査役に対し(当時の経営者に献金額を賠償請求するよう)書面通知を行ないました..通知後30日以内に監査役が賠償請求をしない場合は株主代表訴訟を提起するとして準備が進められています.以下は書面の全文です.

多くの関係者のご支援をお願いします


冠省、益々御清栄のことと存じます。
 当方は、貴社の株式3000株(本年1月24日の臨時株主総会による減資決議による減資がなされたのちは1000株)を6ヶ月以上前より保有する、大阪府泉南市信達牧野1335番、柚岡一禎氏の代理人です。
 貴社は、バブル経済時の海外事業等への放漫な投資により経営危機に陥りました。1997年10月に経営革新中期計画を、更に2000年9月には融資を受けていた金融機関による総額4500億円の債権放棄を柱とする新経営革新計画をそれぞれ策定し、発表しています。前記革新計画に基づき、住友銀行をはじめとする金融機関より総額4300億円の債権放棄につき合意を得たうえ、2001年1月24日開催された臨時株主総会では651億円の減資が決議されています。
 このような経営危機状況を反映して、2001年1月31日の貴社の東証株式価格は1株33円にまで下落しており、倒産寸前の状況と言われても過言でない有様です。
 金融機関による債権放棄がなされた4300億円については、前記金額相当額の未処理損失がかねてより生じていたものと考えられます。1996年3月期以降の貴社の純資産額は、
 1996年3月期 3554億円
 1997年3月期 3535億円
 1998年3月期 1338億円
 1999年3月期 1352億円
 2000年3月期 1663億円
となっており、4300億円の未処理損失があったと考えれば、この間継続的に欠損が生じていたものです。
 更に貴社は系列会社を含む取引先につき、平成12年3月期においても1732億円という巨額の保証をなしており、前記保証債務の多くは、主債務者である取引先の支払能力がなく、貴社がその債務の履行をしなければならないものと考えられるものです。
 このように巨額の欠損を生じ、経営危機に陥っていたにも拘らず、貴社は1996年以降1999年まで自民党の政治資金団体である国民政治協会に対し、
 1996年 2817万4000円
 1997年 2167万2000円
 1998年 2067万2000円
 1999年 1632万5000円
  合 計  8684万3000円
の企業献金を継続的に行なってきたものです。
 貴社の前記総額8684万3000円の企業献金はつぎの点で違法です。
 第一に、貴社が前記企業献金を自民党を中心とした現在の政治体制を守るため行なったとすれば、国民個人の有する国政決定権を企業の献金という金で歪めようとするものです。
 第二に、営利活動を目的とする株式会社である貴社が、無償の利益の供与である企業献金を行うことは、定款の目的に反するものです。企業献金に対する社会的批判は益々高まってきており、それは「社会的に期待・要請される行為」ではなく、それを禁止することこそが社会的に期待・要請されていることを考えるなら、なお更のことです。
 第三に、貴社の前記献金において最も重要な点は、経営危機により事実上欠損が生じている状況下にあって企業献金をしたことは、取締役としての善管注意義務に反するということです。企業献金が仮に認められたとしても、それは個々の企業の経営状況を考慮したうえでのことで、多額の欠損を抱え経営が危機・破綻状況にあった貴社においては認められるものではありません。因みに政治資金規制法第22条の4は、三事業年度以上にわたり継続して欠損を生じている会社の企業献金を禁止しています。また、貴社の再建計画を有利に進める政策決定を期待・要請して企業献金がなされたものだとしたら、贈賄行為であり許されないものであることは明らかです。
 以上、1996年より1999年までの4年間になされた前記企業献金は違法なものです。前記献金は前記期間に在任した全ての取締役が協議してなされたものです。
 よって、前記期間に在任した全ての取締役を被告として、前記企業献金相当額である8684万3000円につき損害賠償請求の訴を本内容証明郵便送達後30日以内に提訴することを求めます。
 同時に、在任中の取締役に対し、今後いかなる政党や政治資金団体に対しても政治献金を行うことのないようその差止めを求めるものです。
 以上要用のみにて失礼致します。

  2001年2月7日

    xxxxxxxx代理人
    弁護士 xxxxxxxxx
    弁護士 xxxxxxxxx

福井市中央2丁目6番8号
 株式会社 熊谷組
  監査役 吉田哲朗 殿
   同   小嶋正己 殿
   同   寺尾嘉夫 殿
   同   水野 寛 殿