日本航空障害者雇用株主代表訴訟の和解成立

原告・原告弁護団・株主オンブズマン

 日本航空は障害者の法定雇用率(現行1・8%)を達成せず、年間4000万円〜5000万円台(未達人数1人当り月5万円)の障害者雇用納付金を国に支払っていました。

 昭和35年に定められた(納付金制度は同51年)法定雇用率を、長年に亘って達成しないままに、障害者雇用にかえて納付金を払えばよいとして、法定雇用率達成を怠ってきたことは、取締役(前、現社長2名)としての善管注意義務違背であり、納付金相当額の損害を日本航空に与えたとして株主代表訴訟が争われてきました(1999年12月17日提訴)。原告のたんぽぽ投資クラブは、株主オンブズマンの有志でつくっている投資クラブであり、個人の2名の原告は株主オンブズマンの会員です。

 今般、別紙の内容での和解が本年5月17日午前11時30分東京地裁民事第8部合議係で成立しました。

 この和解は、日本航空は未だ2000年6月の全国平均の障害者雇用率1・49%に達せず1・29%にとどまっていますが、2003年度末までに、現在の全国平均の雇用率1・49%を達成し、更に2010年度末までに法定雇用率の1・8%を達成するよう努力することを主な内容にしています。

 また、法定雇用率達成までの間、日本航空のホームページで雇用率の状況を一般に開示することも定めています。

 1000人以上の企業のうち70%を超える企業が法定雇用率を達成しておらず、また法定雇用率達成に向けての目標や計画を有していません。また厚生労働省も法定雇用率の達成目標年度を持っていません。

 そのなか、社会連帯の理念に基づき障害者に雇用の場を与える事業主の共同の責務と、障害者雇用促進法の定めに基づき法定雇用率を達成する努力目標を自ら定めたことは、他企業の範となるものです。

 また多くの企業(とりわけ未達成企業)では、障害者雇用率を開示していません。また、厚生労働省も障害者雇用促進法には、法定雇用率達成を怠っている企業への制裁としての公表制度があるにも拘らず、この制度を用いたのは平成3年に4企業を公表したにとどまっています。

 そのなか、日本航空が率先してホームページで障害者雇用率を一般に公開することも大いに評価できることです。

 この和解は障害者雇用促進のための小さな一歩ではあるものの、これが他の企業にも波及することを考えるなら、大きな前進への一歩となると自負しています。また、そうするため、支援して頂いた障害者団体、原告、弁護団、株主オンブズマンは今後も力を合わせたいと思います。

 同時に、この解決は、株主が企業の障害者雇用のあり方に問題を投げかけ、企業がこれを積極的に受けとめたものであり、株主代表訴訟がコーポレートガバナンスとしての機能を果たした点でも画期的なものと言えましょう。

2001年5月17日

                              連絡先      弁護士 松  丸    正


 

   和 解 条 項

  1. 日本航空は原告らに対し、障害者雇用促進法の、すべて事業主は障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき雇用の場を与える共同の責務を有するとの精神並びにそれに基づく同法の定めに従って、2010年度末を目標に障害者雇用促進法に定められた法定雇用率を達成するよう努力するとともに、前記目標達成の為に2003年度末までに現在の全国平均の障害者雇用率を達成することを確認する。
  2. 日本航空は原告らに対し、障害者を雇用する為、今後とも、職場環境の改善及び障害者の就労を支援するための補助機器の導入を含む支援体制を推進することを確認する。
  3. 日本航空は原告らに対し、法定雇用率達成に至るまでの間、その年度の雇用率達成状況を日本航空のホームページで一般に公開する。
  4. 原告らは被告らに対する請求を放棄する。
  5. 原告らと被告ら及び日本航空は、本件に関し、本和解条項に定める外何ら債権債務が存しないことを相互に確認する。

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