市民派株主の質問事項2001

 株主総会の改革は21世紀をむかえた日本企業の改革課題の一つです。さらに、日本企
業の組織においても、監査役制度の見直しや社外取締役の導入など、さまざまな改革が行
われています。これらの背景には、経営に対する健全なチェック機能を確立する狙いがあ
るといえます。チェック機能が働かない組織は、機密費問題にゆれる外務省や水島そごう
に象徴されるように、不正の温床となったり、破綻を余儀なくされるでしょう。
 わたしたち株主が、株価や配当に関心を持つのはあたりまえのことです。しかし、それ
らだけに惑わされることなく、自分が株式を所有している企業がどのような経営活動を行
っているのか、今後行おうとしているのかについて、広く注意を払い、株主総会に進んで
参加し、積極的に質問をしていくべきではないでしょうか?

 多くの株主が、活発に発言して、株主総会を活性化することは、企業や経営者に対する
チェック機能となり、必ずや経営者の違法・不正行為や誤った経営判断に対する抑止力と
なるでしょう。こうした株主からのチェックが、企業活動の健全化を生み出し、ひいては
よりよい市民社会を形成する一助となるはずです。
 また、経営者も、株主総会を年に一度の通過儀礼的な儀式とすることなく、株主との対
話の場と位置付けて、たくさんの株主の声を聞いた上で新しい世紀の経営判断を行うべき
ではないでしょうか。

 本会は、1996年の設立以来、株主総会改革にむけてさまざまな提言や取り組みを行って
きました。そこで、21世紀をむかえた本年も「市民が共感できる株主総会」の実現を目指
して、
株主総会に参加するにあたっての『書面質問のすすめ』ならびに
A 株主総会のあり方と株主への配慮に関して
B コーポレートガバナンス(企業統治)に関して
C 企業の情報公開に関して
D 企業倫理とコンプライアンスに関して
E 雇用の問題に関して
F 社会や環境への配慮に関して
G 会計監査に関して
の7つのテーマで77項目の2001年版市民派株主の質問事項をお届けします。

本会が行っている「株主総会を採点しようー株主総会モニター公募―」への参加、株主総会
質問マニュアルとあわせて
活用される活発な質問が行なわれる事を期待しています。

   『書面質問のすすめ』
株主は会社の意思決定に対して持ち株数に応じた議決権を持っていると同時に、経営に関
して質問する権利を持っています。経営者は、株主からの質問に対して答えなければなり
ません。質問に対する無視や言い逃れを許さないために、事前に質問したい事項を書面で
社長や会社あてに送付すればいいでしょう。商法第237条3の2項には、「取締役・監査
役の説明義務」が定められています。株主が総会日より前に書面によって説明を求むべき
事項を通知した時は、取締役・監査役は調査を要する事を理由に回答を拒む事はできない、
とされています。より、具体的な経営状態の数値やデータなどの開示を求める上でも、書
面質問は不可欠であるといえます。多くの株主が、具体的な情報の開示を求めて、書面質
問を活用される事を期待しています。

A 株主総会と株主の配慮に関して
1 株主総会開催を、株主総会集中日の前後に移動させる事はできないのでしょうか。
2 さらに、株主総会開催時刻を、多くの一般株主が参加しやすい時間に移動させる事はで
  きないのでしょうか。
3 社員株主を動員しての総会リハーサルはやっていますか。また何回やりましたか。
4 社長が株主総会の議長を務めるのではなく、経営陣と株主双方にとって中立の人物を選
  出すべきではないでしょうか。
5 総会を開かれたものとするために、議場に記者席を設けてマスコミに公開するなどの取
  り組みをすべきではないでしょうか。
6 株主からの質問には、一括回答ではなく、一問一答で行うべきではないでしょうか。
7 株主総会召集通知について、発送時期を早める、分かりやすくするなどの工夫を行い、
  株主の議決権行使を行いやすくすべきではないでしょうか。
8 海外の株主に対して、召集通知に英文を添付するなどの配慮を行うべきではないでしょ 
  うか。
9 議決権行使制度を改めて、秘密投票制度や棄権制度の導入、第三者による集計などを行
  うべきではないでしょうか。
10個別の議案に対して、賛成票・反対票・棄権票の票数を具体的に示してください。
11弁護士や会計士といった経営の専門家による株主の代理出席を認めていますか。
12株主総会終了後に株主と経営者との懇談会や、地方の株主を対象にした経営説明会を開
  く用意はありますか。
B コーポレートガバナンス(企業統治)に関して
1 取締役・監査役の報酬および退職慰労金について、個別の金額を開示してください。
2 役員報酬や退職慰労金は、その功績によって支給されるものであり、ただ基準に従って
  取締役会や社長に一任せず、広く株主の声を聞いた上で議決すべきではないですか。
3 社外から監査役や取締役を迎える際、どのような基準で選んでいるのでしょうか。
4 相談役や顧問がいるとするならば、それはどのような基準によって選ばれたものでしょ
  うか。勤務内容や報酬についても説明してください。
5 近年、取締役会の形骸化・無機能化が指摘されていますが、取締役会の活性化に具体的 
  な方策をとっていますか。
6 取締役会の構成、開催日数、出席率、所要時間や運営方法などについて具体的に説明し
  て下さい。
7 経営に意思決定を迅速かつ的確に行うために、執行役員制度の導入など、従来の取締役
  制度を改革し、人員の削減を図るべきではないでしょうか。
8 業務執行の監督や調査、役員の報酬や退職慰労金の算定を行う機関を、社外取締役を中 
  心に設置すべきではないでしょうか。
9 役員の定年退職制度は実施されていますか。またそれは厳格に守られていますか。
10投資先や出資先企業に対する、株主総会の議決権行使の基準と、前年度議決権行使の結
  果を開示してください。
11景気低迷や国際間の競争激化など、企業を取り巻く経営環境は非常に厳しくなっていま
  す。そういった中で、経営者としてどのような理念や目的をもって経営にあたるのか、
  具体的に説明してください。
C 企業の情報公開に関して
1 製品のリコールや安全性情報について迅速に公開していますか
2 消費者からのクレームや要望についてどのように応じていますか。マニュアルや相談窓
  口は設けていますか。
3 公正取引委員会から審決や告発を受けた事がありますか。あるならばその内容を具体的
  に示してください。
4 会社が原告または被告となっている法的係争について、その結果や具体的情報を開示し
  てください。
5 役員や元役員に対する株主代表訴訟は提訴されていますか。
6 政治献金を行っていますか。行っているならばその相手先と献金日時、献金理由を説明
  してください。
7 政治団体主催のパーティー券を購入していますか。その相手先と金額を開示してくださ
  い。
8 情報開示について、法令に定められた開示規定以上の情報についても積極的に開示して
  いますか。
9 情報公開について専門の部署や担当役員を配置していますか。
10官僚からの天下りを迎え入れていますか。いれば人数と報酬を開示してください。
11接待についての内部規定はありますか。
12インターネットホームページを持っていますか。ホームページによる情報公開への取り
  組みを具体的に示してください。
D 企業倫理とコンプライアンスに関して
1 ECS2000(倫理・法令遵守マネジメント規格)の活用を行っていますか。
2 総会屋や反社会的勢力との絶縁について、どのような取り組みをしていますか。
3 企業倫理方針を具体的に、細目にわたって策定していますか。
4 また、企業倫理方針を一般に公開していますか。
5 役員の倫理規定を策定していますか。
6 倫理遵守に際しての専門機関やチェック機関を設けていますか。
7 SRI(SocialResponsibilityInvestment)が拡大する中で、それに対する取り組みや配
  慮を具体的に示してください。
E 雇用の問題に関して
1 全従業員に対する正社員の比率を開示してください。
2 男性・女性別社員の平均勤続年数、平均賃金を開示してください。
3 女性管理職の比率と女性の雇用条件改善についての具体的取り組みを開示してください。
4 障害者雇用率の達成状況、雇用納付金または雇用調整金の金額を開示してください。
5 正社員に占める障害者の比率を開示してください。
6 労働時間の短縮、時間外労働の削減への取り組みを示してください。
7 社内でセクシャルハラスメント事件は発生していますか。その防止のための取り組み
  を教えて下さい。
8 出産・育児・介護などの長期休暇制度の現状や活用状況について具体的に示してくださ
  い。
9 社内で過労死や過労自殺は発生していますか。その防止のための取り組みを示してくだ
  さい。
10年次有給休暇の平均日数と取得率を開示してください。
11人事・労務管理における公正さを確保するための取り組みを具体的に開示してください。
F 社会や環境に対しての配慮に関して
1 環境に対する経営のガイドラインを独自に定めていますか。
2 リサイクルや省エネルギー推進への取り組みを示してください。
3 産業廃棄物の削減や発生を抑制するための取り組みについて示してください。
4 オゾン層破壊物質の使用抑制・全廃にむけた取り組みについて示してください。
5 環境保護商品・エコマーク商品の開発や導入についての取り組みを示してください。
6 途上国での工場の開設などに際して、労働条件や衛生基準はどのように策定しています 
  か。また環境基準は日本に準じたものでしょうか。
7 ISO14001シリーズなどの規格を取得していますか。規格所得の状況を説明してくださ
  い。
8 シリーズ(CERES:環境に責任を持つ経済のための連合)原則を採択する用意はあり
  ますか。
9 環境保護に関して具体的な努力目標を策定していますか。
10環境に優しい企業として特に配慮し取り組んでいる事を具体的に示してください。
11地域社会への貢献策としてどのような取り組みを行っているか具体的に示してください。
12社会支援活動として特に力を入れている取り組みを具体的に示してください。
13社員のボランティア休暇制度は導入されていますか。具体的な活動例を示してください。
14役員のボランティア活動を具体的に示してください。
15海外向け投資の中で、人権抑圧国に対するものはありますか。あるならば相手国と金額、
 今後の対応について示してください。
G 会計監査に関して
1 目標とする利益率、配当目標を具体的に示してください。
2 ECMS(倫理・法令遵守マネジメントシステム)監査を導入する用意はありますか。
3 接待交際費に関する内訳や内容について開示してください。
4 使途秘匿金の金額を示してください。
5 税務当局から更正の通知を受けたり、追徴課税されたケースはありませんか。あるなら
  ば、その内容や金額を示してください。
6 IR活動の具体的な内容を開示してください。
7 外部からの会計監査や監査役制度を充実させるための取り組みを示してください。
8 経常利益に占める社会貢献活動費目の割合を示してください。その目標など定めていますか。

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