青木建設に対する株主代表訴訟の書面通知書(全文)


 冠省、益々御清栄のことと存じます。
 当方は、貴社の株式1000株以上を6ヶ月以上前より保有する、株主の代理人です。
 貴社は、バブル経済時の海外事業等への放漫な投資により経営危機に陥り、平成10年11月に融資を受けていた金融機関26社による総額2049億円の債務免除を柱とする経営再建計画を策定し、債務免除をあさひ銀行、日本興業銀行等金融機関より得ていました。しかし、これにも拘らず、貴社の売上並びに信用状況は低迷し、本年12月6日東京地方裁判所に対し、民事再生手続開始の申立てをしています。
 金融機関による債務免除がなされた2049億円については、前記金額相当額の未処理損失がかねてより生じていたものと考えられ、また、現在の貴社の資産につきそれを適正に評価すれば、相当額の評価損が生じているものと見込まれ、また、系列会社を含む取引先につき巨額の保証をしており、保証先の支払能力からして貴社が債務履行しなければならない保証債務の額も相当額に及んでいたものと考えられます。
 以上の点を考慮すれば、貴社には、この間継続的に欠損が生じていたものです。
 このように巨額の欠損を生じ、経営危機に陥っていたにも拘らず、貴社は平成4年から同11年までの8年間に、後記のとおり、合計1億6097万1000円の政治献金を支出してきました。
 貴社の前記総額1億6097万1000円の政治献金はつぎの点で違法です。
 第一に、貴社が前記企業献金を自民党を中心とした現在の政治体制を守るため行なったとすれば、国民個人の有する国政決定権を企業の献金という金で歪めようとするものです。
 第二に、営利活動を目的とする株式会社である貴社が、無償の利益の供与である企業献金を行うことは、定款の目的に反するものです。企業献金に対する社会的批判は益々高まってきており、それは「社会的に期待・要請される行為」ではなく、それを禁止することこそが社会的に期待・要請されていることを考えるなら、なお更のことです。
 第三に、貴社の前記献金において最も重要な点は、経営危機により事実上欠損が生じている状況下にあって企業献金をしたことは、取締役としての善管注意義務に反するということです。企業献金が仮に認められたとしても、それは個々の企業の経営状況を考慮したうえでのことで、多額の欠損を抱え経営が危機・破綻状況にあった貴社においては認められるものではありません。因みに政治資金規制法第22条の4は、三事業年度以上にわたり継続して欠損を生じている会社の企業献金を禁止しています。
 また、貴社の再建計画を有利に進める政策決定を期待・要請して企業献金がなされたものだとしたら、贈賄行為であり許されないものであることは明らかです。
 以上、平成4年より同11年までの8年間になされた前記企業献金は違法なものです。前記献金は前記期間に在任した全ての取締役が協議してなされたものです。
 よって、前記期間に在任した全ての取締役を被告として、それぞれ在任中になされた政治献金相当額につき損害賠償請求の訴を本内容証明郵便送達後30日以内に提訴することを求めます。
 この期間内に提訴なきときは、貴社に代わって株主代表訴訟を提訴することになりますので、御了承下さい。
 同時に、在任中の取締役に対し、今後いかなる政党や政治資金団体に対しても政治献金を行うことのないようその差止めを求めるものです。
 なお、貴社において、将来政治献金を行なわないことを明らかにしたときは、株主代表訴訟を提訴しないこともありますので、その節は御一報頂ければ幸いです。
 以上要用のみにて失礼致します。
         記
国民政治協会(自由民主党)
 平成4年度分 24,302,000円
 同 5年度分 23,880,000円
 同 6年度分 12,060,000円
 同 7年度分 12,820,000円
 同 8年度分 24,574,000円
 同 9年度分 20,672,000円
 同10年度分 11,984,000円
 同11年度分    700,000円
政和協会(旧民社党)
 平成4年度分  4,050,000円
 同 5年度分  3,980,000円
改革国民会議(旧新進党・自由党)
 平成6年度分  5,940,000円
 同 7年度分  5,910,000円
 同 8年度分  5,835,000円
 同 9年度分  2,496,000円
 同10年度分    663,000円
国民改革協議会(民主党)
 平成9年度分  1,105,000円

     2002年1月8日

    大阪市北区西天満3−14−16
      西天満パークビル3号館8階
    株主代理人
     弁護士 阪  口  徳  雄
    堺市中瓦町1丁4番27号
             小西ビル6階
    同
     弁護士 松  丸     正

大阪市北区大淀南1−4−15
 株式会社 青木建設
  監査役 宗 愼治 殿
   同  高倉正治 殿
   同  富野正美 殿
   同  河村毘夫 殿


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