株主オンブズマン「商法等改正案」に対する意見


 政府は、法制審議会会社法部会の答申に基づき、「商法等の一部を改正する法律案」
(閣法第77号)を決定し、本年3月18日に国会に提出した、同法案は衆議院を通過して
いる。

 この法案は、
(1) 大会社又はみなし大会社であって、定款で委員会等設置会社と定めたときは、取締
   役会の内部に監査委員会(取締役・執行役の職務の監査等)を設置し、その場合は
   監査役を置かない

(2) 一定の要件の下に貸借対照表、損益計算書、利益処分又は損失の処理に関する議
   案について株主総会の承認を要せず、取締役会の承認をもって足りるとする
   との点において問題がある。

(1) について
○ 独立性がない
 監査役は、会計監査権限とともに、取締役の職務執行の適法性を監査する権限である
 業務監査権限を有している。従前の監査役による監査が充分に機能してこなかった原
 因として、取締役会との関係で監査役が独立性を有せず、事実上従たる地位に甘んじ
 ていたことが挙げられる。

○ 自己監査との謗りを免れない
 この法案は、取締役会の監査を取締役会内部の監査委員会に委ねるものであり、従前
 の監査役よりも更にその独立性が失われることになる。また取締役会を構成する取締役
 が自ら監査するという自己監査となり、監査の実効性が失われることになる。

○ 違法行為差止権限の実効性の減殺
 個々の監査役には、取締役に対する違法行為差止請求権が与えられている。
 しかし、外部取締役とはいうものの、取締役で構成される合議体としての監査委員会に
 よる監査となれば、この請求権の行使が抑制されることが多く、かつ迅速性にも欠けるこ
 とになる。
 以上の点からして、現行の監査役制度(法案は選択を認めているが)と較べて、会計、並
 びに監査の点において実効性を損ねるおそれが高いものと言わざるを得ない。

(2) について
 利益処分案等は、株主にとって株主総会で決議に参加する最重要事項である。これを取
 締役会の決議をもって足りるとすることは、株主並びに株主総会の地位を著しく損ねるも
 のである。
 利益処分案等をめぐっての株主の質問権(会社にとっての説明義務)が制限されることも
 考えられるものであり、反対である。


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