『ソニーの株主提案(役員の報酬開示)27.2%の賛成を得る。』


ソニーへの株主提案についてのコメント

                               

 株主オンブズマンは、ソニー株式会社の2002年定時株主総会に際し、45名、84,800株の株主の委任を受け、役員の報酬・退職慰労金の個別開示を求める株主提案(9号議案)と、第10議案の女性取締役の選任を求める株主提案(10号議案)を行いました。

 

 9号議案に関しては、わたしたちが提案を行った直後に、ソニーは、個別開示はできないが、報酬の総額を株主総会の招集通知に添付される営業報告書に取締役と監査役の別にわかりやすく書く、また、退職慰労金についても、総額を同じく営業報告書に開示すると回答してきました。その結果、今回送られてきた営業報告書には、2001年度に取締役および監査役に支払われた報酬・賞与金・退職慰労金の額は、次のように記載されています(単位は100万円)。

 

         定額報酬     賞与金   退職慰労金  

 取締役   13  1,080  10名 180  1名 200

 監査役    5     105     ―        1名  2

 合計    18名  1,186  10名 180  2名 202

 

 これは、従来は株主総会の翌年、本店に置かれた附属明細書を見るまでは知り得なかったものを、すべての株主が株主総会の前に郵送されてくる書類で知ることができるようにしたという点で、一歩前進と評価できます。ただし、ソニーは、今期の総会で、昨年12月の商法改定で導入された株主代表訴訟における取締役の損害賠償額の軽減規定に関連して定款変更の提案をしており、その施行細則からみて、今回の開示は、退職慰労金の開示を別とすれば、この定款変更にともなう開示を1年早く実施したにすぎないともいえます。

 

 しかし、ソニーが日本を代表するグローバル企業であるなら、他の企業に先んじて役員の報酬と退職慰労金の個別開示に踏み切るべきです。そういう考えから、わたしたちは、役員の報酬と退職慰労金の開示に関する株主提案は取り下げずに、投票に持ち込むことにしました。海外機関投資家に議決権行使情報を提供しているインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、この議案に賛成の助言をしました。

 投票の結果、この議案は、国内の個人株主や海外の機関投資家にご理解をいただいて、議決権行使株数の27.2%の賛成を得ることができました。アメリカにおいては、株主提案の賛成が10%を超えることは会社を動かすベンチマークだと言われています。日本においては、10%を超える賛成を得ることは同一議案を次年度に再提案できる条件でもあります。今回の投票が10%を大幅に超えたことは、初年度の提案としては大きな前進であります。ソニーが自らこの株主の声を聞き、個別開示に踏み切ることを要望します。

自主的に開示しない場合は、わたしたちは、ソニーが役員の報酬と退職慰労金の個別開示に踏み切るまで、この提案を続けていきたいと考えています。

 

 第10号議案については、男女共同参画の見地から提案したものでありますが、17.55%の支持を得ることができました。これに付いても来年度も再提案できることになり、女性役員の選出まで株主提案を続けたいと思います。

 

             2002620

                           株主オンブズマン代表

                           関西大学教授 森岡孝二