特種製紙梶i静岡県、東証1部上場)の株主代表訴訟について
──  更なる内外の情報の提供の呼びかけ ── 


 

1.今回の株主代表訴訟は、特種製紙についての関係者の、内外の関係者からの情報に基づいた初めての株主代表訴訟です。

2.コーポレートガバナンスの立場から、長期間、社長として在籍している企業の統治原則の是か否かが問われる初めての株主代表訴訟です。
  その点で、社内外でどのような問題が発生しているのか電話(06−6314−4192)、FAX(06−6314−4187)で情報を提供して下さい。
  秘密は厳守します。

3.通知書は以下のとおりです。

商法267条1項の株主代表訴訟
に関する通知書

 当職らは、貴社の株式を6ヶ月前より保有している後記記載の2名の株主(各1000株)より依頼を受け、下記のとおり通知する。

1.(会社の損害)
(1)会社とA社長との自己取引による損害【金1億8384万円】
  @ 平成元年1月25日、会社は後記物件目録(1)の土地を金203,430,000円で購入した。平成4年12月、役員社宅が必要だという名目   で、同土地上に同目録(4)の建物を97,877,000円で新築した。更に本件建物に付随して構築物(庭等)として車庫等を32,227,000円、   家具等は29,693,000円を支出した。会社が社長の自宅の為に支出した金額は合計3億6322万円となる。その後、同目録(2)記載の土地   を合計39,498,000円で追加購入した。従って会社が社長の自宅の土地建物に支出した合計金は402,725,000円であった。
  A 平成8年5月、同社長は、この土地・建物を合計約金218,879,000円で会社から購入した。この為、会社は約183,846,000円の売   却損を計上した。
  B しかしこの土地・建物は、当初から社宅という名目で、社長個人が会社の金で購入し、かつ新築したものであった。現実には新築後は社長個   人の家族が居住し続けていた。およそ役員一般の社宅というものではなかった。更にその後、建物、構築物、家具等を減価償却という理屈を   つけてA社長はこれを著しく安く購入した。当初から自らの自宅として社長自らが購入しておれば会社は1億8384万円の損害を受けなかっ    た。
C A社長は会社から役員報酬・賞与、更に特種製紙の系列会社からの給与収入を含めて高額な金額を受け取っている。
    123期(H12.3〜H13.3)を推定すると約1億3000万円である。122期以前はこの金額よりもかなり上回ることは明らかである。
  同業他社や従業員の給与と比較して非常に高額な報酬・賞与を受けているのであるから、上記のごとき手法を利用して自宅を購入する結論的  必要性等は全くなかった。

(2)社長専属の別荘購入による損害【金2500万円】
  @ 会社は社長専属の別荘「長野県茅野市北山字鹿山4026−1726 東急リゾートタウン蓼科 125.22u」を平成7年10月頃4500万円   で購入した。この別荘は従業員には殆ど知らされず、社長・家族が専属的に利用している。
  A 本来は社長・家族の別荘として購入したものであるから4500万円が損害であるが、これを売却すれば2000万円位なので2500万円の損   害を受けた。

(3)美術品の購入による損害【金6億円】
  A社長は浮世絵等の古美術品に関しての趣味があり、次々と高額の美術品を購入した。会社の購入総額は40億円余を上回っている。この購入  はA社長個人が美術品を趣味にしているだけで、会社にとって必要不可欠な購入ではなかった。
  この10年間でも合計8億円を下らない。
  能面 48点(土佐高知山内家)
  5700万円
  岩佐又兵衛三十六歌仙図 
  1億3000万円
   根付 279点
       9100万円 
  の高額な美術品も含まれている。このような社長個人の趣味を満足させる為の美術品の購入は、それ自体、会社にとって損害である。なお、売  却するとすれば、その4分の1程度の価値であるから6億円が会社の損害となる(なお、本件美術品を保管する建物PAMを昨年建築した代金も  不必要な支出なので、損害の対象となるが、現在のところ、その金額が判明しないので訴訟の状況をみてこの金額も追加する予定である)。

(4)脱税による重加算金による損害【金4000万円】
   会社は平成12年4月に従業員に支給した約4億円の賞与が問題となった。本来ならば、この賞与は平成12年3月21日から平成12年9月  20日の間に支給される賞与である以上、平成12年9月の中間決算に費用として計上すべきであった。しかるに、会社はこれを平成12年3月期  の決算に損金として計上した。このような違法な賞与の計上は、国税通則法68条第1項に違反する悪質な仮装隠蔽工作があった。その結果、  約4000万円の重加算税が課せられたと推計される。法律に違反する脱税行為を行い、会社に約4000万円の損害を与えた。

(5)裏金による損害【金約3000万円】
  @ 労働組合から受け取った委託料、会社主催のゴルフコンペの会費、生命保険会社からの事務手数料収入等が会社に入金とならず、南駿農協竹原支店等のB個人名義の口座に送金されていた。
  この合計はこの10年間で少なくとも3000万円以上に及ぶと推定される(監査役で調査されたい)。
A 本件のごとき、裏口座を作ること自体、会社にとって損害となる。
(6)以上、会社の受けた損害の合計金は8億7884万円となる。

2.(取締役の善管注意義務違反)
(1)社長の自宅購入について
【1.(1)の行為】
商法205条は会社と役員との自己取引について取締役会の承認を要求している。本件の場合、平成8年5月の本件土地・建物についての自己取引について取締役会の承認がなされているが、そもそも本件土地・建物は役員社宅として全く必要性のない土地を購入し、その上に社長の自宅である建物等を建築したものであるから、A取締役は、自己の為に会社の金を費消したものである。よって取締役の忠実義務に違反する。なお、平成8年5月の売買行為によって1億8384万円の損害が確定したものであるから、この分の損害賠償を支払う義務が存在する。

(2)社長の背任行為【1(2)の行為】
取締役は会社の金で自己並びにその家族の為に別荘を購入して会社の資金を支出してはならないことは当然である。忠実義務違反である。

(3)美術品の購入行為【1.(3)の行為】
A社長は、40億円を超える美術品を購入したは紙の会社であるから紙に関する美術品を購入している等と説明している。しかし会社の資金は無限にあるわけではない。限られた会社の資金の中から自己の趣味や価値判断から会社の為になると信じて本件美術品を購入していたとしても、当然に認められるわけではない。本件の場合、一つ一つの美術品についてどのような理由で、どのような目的で、そしてそれが会社、ひいては株主、従業員にどのように還元されるのか、その購入目的(A社長の好みという目的)並びにその手続(社長が一人で判断)に於いても違法であるにみならず、その金額の高額さ(40億円)という点からみても取締役の忠実義務に違反するものである(これらの美術品中には、前記能面、根付等、全く紙と関係のない美術品も多数購入されているから尚更その義務違反は高い)。

(4)重加算税【1.(4)の行為】
会社が企業活動を行うにあたっては、法令を遵守すべきことは当然である。会社の「利益」の為になる行為であってもそれを為してはならないことは当然である(商法266条1項5号)。
しかるに本件申告に際して前記法令に違反して申告を為した。その為に重加算税額が4000万円加算されたので、取締役の善管注意義務に違反することは明らかである。

(5)簿外資金【1.(5)の行為】
@ 会社の入・出金は全て一元的に把握出来るよう管理されるのが上場企業の当然の要件である。万一にも会社が一元的に管理出来ない簿外資金なるものを取締役や従業員が個人口座を開設して管理すべきものではない。本件の簿外資金は長期間に亘って社長室長の地位を利用してB個人が管理していたものであって、このような裏金は違法であることは言うまでもない。仮にこのような裏金が会社の為に費消されたという弁明があったとしても、それを裏付けする証拠がない以上、会社の損害とみなすべきである。これについて当時からA社長はこれを容認していたか、仮に知らなかったとしても、その知らなかったことに重過失があるというべきである。

A B氏の行為は従業員時代の違法行為である。従業員時代に簿外預金口座を開設し、その支出を行っていた。その支出が会社の為の支出という為には、それが会社の会計原則からみて例外的な処理であるから確たる証拠がない以上、会社の支出と認められない。従業員時代のこのような行為について同人が取締役に就任した段階で、自らの違法行為を放置し、それを返還しないことは取締役としての注意義務に違反する。

3.(コーポレートガバナンス原則と会社の損害)
(1)
  @ A社長は1948年(昭和23年)5月に入社し、社長室長等を経て1979年(昭和54年)9月に社長に就任した。以来22年余、社長として就任している。日本の上場企業で、かつオーナー社長でなく、これ程長期間、しかも81歳という高齢で社長の地位にいる者は皆無に近い。同社の副社長、専務、平取締役はこの間、次々と交替しているが、社長だけは上記のとおり長期間就任している。
A 取締役Bは、1969年(昭和46年)3月会社に入社し、1993年(平成5年)5月管理本部総務部長等を経て2000年(平成12年)6月取締役社長室長となり、上記A長期体制を支え、現在に至っている。
(2)強大権限を持つ社長が長期間君臨すると次のごとき弊害が生じると指摘されている。
  @ 意見や方針が合わない役員(監査役、従業員等)を遠ざけ、建設的な提言や苦言が社長に届かなくなる。
A 自らの言動が「法律」となり、すでに存在する決まり事や規定を無視し始める。
B 怒りや制裁などでの統制が始まり、恐怖政治が始まる。
C 経営指針等や社内体制などにも自分の支持者をつくろうとし、情実での方針が行われる。
D その支持者らが違法・不当行等をしてもそれが放置され、従業員の働く意欲を低下させる。
(3)企業の活力は人である。人と人との間には、相互批判が生じてこそ企業の収益力が伸びるのに、それが無くなると企業は長期的には没落し、株主利益に反する。わが国のそごう、ダイエー等の企業が破綻したのも絶対的権力者の存在が一つの大きな要素であると言われている。

(4)金融検査マニュアル・チェックリストによると「取締役は、業務執行に当たる代表取締役の独断専行を牽制・抑制し、適切な業務執行を実現し、ひいては金融機関の信頼の維持・向上を図る観点から、取締役会における業務執行の意思決定及び取締役の業務執行の監督に積極的に参加しているか」である。民間のメーカーにおいてもまさにトップのワンマン化、独断専行を阻止することが、コーポレートガバナンスの最大の課題であると言われている。

(5)ワンマン体制が完成している企業ではこれを是正する道は株主代表訴訟によるガバナンス是正しかないのが現実である。

4.(通知)
よって本書面到達後60日以内にA取締役に対しては合計8億7884万円、B取締役については金3000万円の損害賠償請求をするよう催告する。
万一、損害賠償請求しない場合は商法267条に基づき株主代表訴訟を提訴する。

5.(代表訴訟にあたって)
 特種製紙株式会社の長期A体制については、株主オンブズマンに異例な程、匿名の告発が寄せられていた。株主オンブズマンとしては匿名の告発であった為に、その真偽を確認する手段を有していなかった。
 昨年、これらの断片的な匿名の告発を裏付けする確度の高い相当量の情報の提供を受けた。株主オンブズマンで調査したところ、それを裏付けする事実が判明した。
 コーポレートガバナンスの根本は結局のところ、企業のトップに対しての抑止である。今、株主代表訴訟の制限があれこれなされているが、本件のごとく企業内に自浄能力がない場合に株主代表訴訟はその一つの手段である。今回の株主代表訴訟については、企業の内外の告発(スピーク、アップ)を受けてコーポレートガバナンスを目指す株主代表訴訟である。

        2002年6月24日

静岡県駿東郡長泉町本宿501
特種製紙株式会社
   上記監査役 影 山 狗 勇 殿
   上記監査役 福 井   浩 殿
   上記監査役 山 田 左千夫 殿