日本ハムの牛肉偽装事件で株主のみなさんに訴えます。

                      2002年8月21日 株主オンブズマン


 

1.日本ハムに抜本的な自己改革を求めます

 日本ハムは、8月20日、BSE対策の買い上げ事業を悪用した牛肉偽装事件について、記者会見を行い、社内調査結果を発表しました。しかし、その内容は、新たに4トンの偽装が発表されたものの、偽装工作や証拠隠滅工作の全容を解明したものとはいえません。

 偽装工作については専務と副社長が2月の時点で報告を受けていながら、その後も社長は知らなかったと言われていますが、これは疑問です。もし社長に報告されていないとなると取締役会は機能していなかったことになります。いずれにせよ今回の事件の真相解明ならびに今回のごとき事態に至った企業風土へのメスが必要です。

 しかし、20日の記者会見の発表は、真相解明には程遠く、公表された処分内容は、引責辞任は専務と副社長のみで、大社義規会長(ハム・ソーセージ工業協同組合理事長)は会長職を辞任しても、名誉会長の地位に就き、大社啓二社長は社長から降格したといっても専務取締役として経営中枢にとどまるというものです。まして、日本ハム固有の企業風土について一言も言及されていません。

 日本ハムは自ら起こした偽装事件によって会社倒産の危機に立たされています。従来の体質を引きずったありきたりの改革では、消費者の信頼回復はありえず、したがって現在の危機は乗り切ることができません。日本ハムとして今行うべきは事件の真相解明と再発防止のための抜本的な社内改革です。株主オンブズマンとしては、日本ハムは、これまでの遵法精神の欠如と隠蔽体質、とりわけ日本ハムの持つ企業風土を改革するためにも、つぎのような措置を早急に実施するべきだと考えます。

(1) 今回の事件の真相解明ならびにこのような事態に至った企業風土の改革、改善のために外部の独立した弁護士、学者、消費者等の委員で構成する調査委員会を設置し、調査結果を公表する。

(2) 違法行為の再発を防止するために、外部の独立した委員を中心とするコンプランアンス体制を確立し、真に実効性のある内部告発者保護制度を導入する。

 私たちが今春行った調査に対して、日本ハムは内部告発者保護制度があると答えています。しかし、今回の事件は社内の人間が担当するやり方ではそれが有効に機能しないことを証明しています。そのために通報や発見が遅れ、信用失墜による売上の減少で損失が拡大し、取り返しのつかない事態になったとも言えます。その点で、弁護士会や消費者団体の推薦を受けた、会社と利害関係を持たない人びとが担当する制度を導入することが急がれます。

2.株主代表訴訟も準備して改革の実行を迫ります。

 社会的に企業倫理や遵法精神に基づいた企業経営が求められるなかで、牛肉偽装という食への信頼を大きく損ねる犯罪行為を行い、この犯罪がなされた後もそれをトップが隠蔽し、社長や会長の責任も十分に問わないですまそうとすることは、株主として許しがたい行為です。しっかりした企業倫理の下で法令遵守の経営が行われないなら、事業の発展は望むべくもなく、長い目で見て株主の利益を損なう結果になります。

 私たちは、なによりも日本ハムが抜本的な自己改革を実行することを期待しています。しかし、それが速やかに実現されない場合には、株主が日本ハム経営陣の責任を追及する株主代表訴訟も提起せざるをえないと考えています。それは役員の責任追及にとどまらず、上記の企業改革を迫る訴訟となるでしょう。

 日本ハムに企業改革を迫るためにも、経営者の責任を追及するためにも、株主が声を上げることが肝要です。株主が声を上げることなしには、消費者の信頼を回復する企業改革は期待しえず、消費者の信頼回復なしには日本ハムの再生はありえません。

 私たちの呼びかけの趣旨にご賛同いただける株主の方は、本会(TEL 06-6314-4192 FAX 06-6314-4187)までご連絡下さい。


                     
                           掲載日:2002.08.21  情報番号:020821-01