ソニー株主総会開かれ、役員報酬の個別開示に30%の賛成

                                          株主オンブズマン
                                          代表 関西大学教授 森岡孝二

6月20日(金)、ソニーの定時株主総会が東京
の新高輪プリンスホテルで開かれました。
今年はカルロス・ゴーン氏の社外取締役就任、
大賀元社長への16億円の退職金の支払(『退
職慰労金の贈呈』)、ソニーショックと言われる
ほどの株価下落などがあって、個人株主の参
加者が例年になく多かったようです。ソニーHP
のIRのページには、昨年は4,330人、今年は
6,257人とあり、昨年より1,000人近く増えていま
す。第3会場までありました(第4会場もあった
かも)。所要時間は2時間7分でした。

株主オンブズマンが出した役員の報酬および退職慰労金の個別開示を求める株主提案(8号議案)については森岡が提案理由の説明をしました。そこでは、まず昨年からの継続提案であることを踏まえた経過説明を行い、女性取締役の選任を求める提案は今年は会社によって受け入れられたので取り下げた事情を述べました。そのうえで、次の点を強調しました。

1)昨年の27.2%という賛成率は、総会招集通知に示された上位10大株主の議決権比率の合計(28.3%)に匹敵するほどに高いものであった。

2)経営不振や不祥事で会長、社長、一般取締役の報酬が減額されることがあるが、元の報酬が明らかにされていなければその妥当性の評価はできない。

3)ストックオプションはすでに個別開示されており、報酬と退職慰労金の個別開示はできないという理由はない。

4)今回は退職慰労金の贈呈議案で大賀元社長に16億円を支給することが明らかになったが、これに倣って報酬と退職慰労金の個別開示も実行するべきである。

5)他社との横並びではなく、日本を代表するグローバル企業として、いまこそ他社に先駆けて実行することが求められている。

発言が終わると会場からかなり拍手がありました。

今年の総会の質問希望者は第一会場の挙手の人数から察する限りでは、昨年より少なめだと感じましたが、それでも十人以上の株主に質問の機会が与えられました。質問内容はメモをとってはいませんが、ソニー製品のアフターケア、ソニー銀行の赤字経営、ゲームビジネス、少子化対応、環境対応、役員の報酬・退職金の個別開示、大賀氏の退職金問題、本業の低い利益率、低株価など多岐にわたっていました。株主提案に対しては第一会場の株主の一人が会場の笑いを誘いながら積極的な賛成意見を述べてくれました。

株主提案の投票結果は、賛成1,544,235個、反対3,575,397個で、議決権行使総株数の30.2%の賛成を得ることができました。昨年は賛成1,381,943個 反対3,706,048個、27.2%でしたから、票数で162,292個、比率で3%の前進です。これは個人株主の投票の多くが白紙であり、しかも株主提案の場合は、白紙は「反対」扱いとなることを考えると、非常に高い賛成を意味します。アメリカでもこれほど高い賛成を得られる株主提案はほとんどないといわれています。 

この件に関する出井会長の発言は「ノー」という基本は昨年と変わっていません。しかし、株主のなかに開示を求める声があることを認めた点で、ニュアンスはだいぶ変わってきています。楽観はできませんが、来年はひっとすればと期待させるものがあります。

このたび委員会等設置会社に移行することになったソニーでは、取締役会のなかにあたらに報酬委員会が設置されます。これを機会に、私たちは30%の株主グループの代表として、来年の株主総会を待つことなく、ソニー取締役会に対し、取締役の報酬および退職慰労金の個別開示の実現を迫っていきたいと思います。


(関連事項)本件は、2003年6月24日付朝日新聞社説で紹介されています。

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