若築建設株式会社役員らに対する株主代表訴訟について

 

    2003年8月14日

 

政治資金オンブズマン(代表 上脇博之 北九州市立大学法学部教授)

株主オンブズマン  (代表 森岡孝二 関西大学経済学部教授)

原告弁護団     (代表 松丸 正)

 

1.本日、若築建設代表である彦坂義助外5名(合計6名)の役員に対し、
株主代表訴訟を福岡地方裁判所に提訴しました。

 

2.提訴の内容は二つあります。

 1つは若築建設株式会社が、平成5年から平成13年まで、自民党長崎県連
に献金をした金5,100万円に対する代表訴訟です(10年前が経過すると時効に
なるので、この10年間に制限しています。)

  もう一つは、談合による課徴金4,090万円です。

 若築建設の役員らは、合計9,190万円の損害を会社に与えたので、その
損害を会社に支払うという代表訴訟となっています。(役員の在任時期の違いによ
り、請求の趣旨のとおりとなっています。)

 

3.本件裁判の特徴

(1)企業が自民党の国民政治協会に献金した件は、今までに二件あります。

 一件は日本生命、住友生命の契約者が社員代表訴訟をしたケースです。
2001年7月18日、大阪地方裁判所は、契約者の献金は取締役の注意義務
違反にならないという理由で、原告側が敗訴しました。(高裁、最高裁も同様)

 2003年2月13日、熊谷組の国民政治協会に対する献金については、
福井地方裁判所は原告株主に対し、一部勝訴判決をしました。現在、名古屋
高等裁判所金沢支部に係争中であります。

(2)今回の裁判の特徴は、政党の支部に対する献金という点では初めて
であります。

政党支部への献金でも公職選挙法に違反する献金(平成13年の500万
円)は、取締役の善管注意義務と認定されることは明らかです。

 しかし、それ以外の年度の献金については、公共工事を受注している企
業が、直接、重大な影響力を有している政党支部への献金が、公職選挙法19
9条との関係、刑法上の賄賂性との関係から、どこまでが違法でどこまでが許
されるのかが最大の争点となります。政党支部が企業献金の受け皿となって
いる実態からみても違法となれば、その影響は甚大なものとなります。

 

4.談合による課徴金の裁判

(1)談合による課徴金の株主代表訴訟

 1998年(平成10年)4月、日立製作所の下水道談合事件について、株主
オンブズマンのメンバーが東京地方裁判所八王子支部に提訴し、1999年12月
21日、和解が成立しました。

 この時は、談合に関与した専務取締役が法的責任を認め、1億円を支払う
旨で和解が成立しました。

(2)今回の件はこれに次ぐ株主代表訴訟であります。

 本件の場合、関与した取締役がいるのかどうか公正取引委員会の記録を
取り寄せ調べることになりますが、今回の裁判は談合に直接関与していない取
締役でも法的責任があることを認めさせることに意義があります。

即ち、談合を防止するシステムを作っていなかった、又は、作っていたが全く
役割を果たしていなかったことについての取締役の法的責任(監視義務違反)が
争点となります。

 

5.政治献金と談合という建設業界の持つ「風土病」を株主代表訴訟と言う法
的手段でその是正が今回の裁判の目的であります。皆さんの御支援、御協力を
お願いしたい。

 

(関連訴訟について)

 五洋建設(株)の役員4名に対して長崎県連分5900万円、
課徴金16.342万合計22.242万円、福井地裁に熊谷組の役員5人に対して長崎
県連分2500万円の訴訟も提訴しています。


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