武富士による盗聴等の事実解明についての申入書

 株主オンブズマンは、市民株主による企業監視により、企業の違法・不正な行為を抑制・
是正すること等を目的としたNPO(非営利法人)であり、当該株主は株主オンブズマンの
会員です。

 貴社は、1996年8月に店頭公開、1998年12月に東証1部に上場された会社で
あり、消費者金融会社としては業界最大手の会社であるとともに、日本経団連にも加盟し
ています。
 貴社は株式公開された大企業として、当然のことながら、違法・不正な行為を断じて為
してはならない責任を、社会並びに株主に対して負うものです。
しかしながら、貴社については、新聞報道等によれば、つぎに述べる違法・不正な行為が
つぎつぎに明らかになり、電話盗聴の件については、貴社のトップである武井保雄会長も
本年12月2日逮捕される事態となっています。

 第1に、ジャーナリスト等に対する電気通信事業法違反の電話盗聴の件です。
貴社の渉外部・法務部にかつて在籍していた中川一博元課長(2002年9月懲戒解雇)
は、アーク横浜探偵局こと重村和男らに、貴社に対し批判的な記事を書いていたフリージ
ャーナリストの山岡俊介氏の東京都内の自宅の電話を盗聴することを依頼したものです。
その依頼に基づきアーク横浜探偵局は、2000年12月から2001年2月まで山岡氏
の自宅の電話回線に盗聴器を設置し、盗聴を行なってきたものです。
 また他のジャーナリストや元丸亀支店長(2000年3月退職)ら貴社の社員に対して
も盗聴を行なったとされています。
 これらの盗聴のため、貴社からアーク横浜探偵局に対しては、2000年8月から20
01年3月までに支払われた分のみで、報酬として約2000万円の金員が支払われてい
ます。
 これらの盗聴の依頼は、中川元課長の独断によるものではなく、貴社の創業者であり、
会長である武井保雄氏の直接の指示のもとになされ、アーク横浜探偵局への報酬の支払い
の稟議書には、武井会長の決裁印、あるいは決裁印はないものの口頭決裁済との記載があ
るとのことです。
 そのうち山岡氏の件については、中川元課長は電気通信事業法違反、小瀧國夫元専務は
同幇助の疑いにより、それぞれ逮捕され、更に武井会長も逮捕されています。

 第2は、1996年8月に貴社が店頭公開するに際しての暴力団等に対する金員の供与
の件です。
 平成15年6月4日東京高等裁判所が判決を下した「報酬金・損害賠償請求控訴事件」
の判決(平成14年(ネ)第6217号、原審東京地方裁判所平成12年(ワ)第230
16号、同26428号)によれば、店頭公開に際して、貴社は暴力団との間で生じたト
ラブルの関係修復を元渉外部長に依頼し、店頭公開したら報酬として5億円を支払うこと
を貴社は約束したものです。しかし、貴社は元渉外部長が関係修復をしたのに1億円しか
報酬を支払わなかったため残りの4億円の支払いを元渉外部長が求めて前記訴訟となり、
元渉外部長が勝訴し、4億円を支払えとの判決を得ているものです。
 いわゆるブラックジャーナリストとされる者に支払った金額は3000万円であると前
記高裁判決は認めています。
 また、暴力団との関係修復や右翼団体の街宣活動等への対応と解決のために相当額の金
員が貴社により供与されたことは、前記高裁判決の判示内容から、充分うかがえるものです。

 第3は、サービス残業(賃金不払残業)の件です。
 貴社は、その社員に対し、時間外休日労働に対する割増賃金を一部についてのみしか支
払っていませんでした。
 これに対し大阪市内の支店に勤務していた社員2名が大阪地裁にその支払いを求める訴
訟を提訴し、2003年2月20日、それを支払う旨の和解が成立しています。
 この和解ののち、貴社は社員、退職者計5400人余りに対し、過去2年分の未払時間
外・休日割増賃金約35億円を支給したものです。また2002年末支店長経験者ら10
名が、2003年6月には全国で計24名が不払割増賃金の支払いを求めて提訴しています。
 このことは、貴社が組織的にサービス残業に対する割増賃金を不払いにするという、労
働基準法違反を行なっていたことを明らかにするものです。

 以上の各事実を踏まえて、株主オンブズマン並びに貴社の当該株主は、つぎの点を貴社
に対し求めます。

 第1の電話盗聴の件については、その事実関係を全て自ら明らかにすること。この盗聴
についての他の取締役、とりわけ武井保雄会長の関与についての事実関係、並びに関与し
た取締役の責任を明らかにし、その処分を行なうとともに、盗聴のために要した費用、並
びに盗聴被害者に支払うべき損害賠償額、更にこの事件により貴社に生じた信用失墜によ
る損害に相当する額についての賠償を求める訴訟を関与取締役に対し提訴すること。

 第2の暴力団・右翼団体・ブラックジャーナリストへの資金供与については、前記高裁
判決の判示している事実経過について自ら明らかにすること。資金供与をなした年月日、
暴力団・右翼団体・ブラックジャーナリスト名、金額、供与目的を明らかにするとともに、
この供与に関与した取締役の責任を明らかにし処分するとともに、暴力団等に供与した金
額、元渉外部長に支払った報酬額、並びにこれにより貴社に生じた信用失墜による損害に
ついて賠償を求める訴訟を関与取締役に提訴すること。

 第3のサービス残業については、少なくも過去5年間にわたって、サービス残業の各事
業所ごとの実態と社員別の額を明らかにしてそれを支払うとともに、割増賃金不払いを行
ない、あるいは指示した取締役の責任の所在を明らかにし処分するとともに、これにより
貴社に生じた信用失墜による損害について賠償を求める訴訟を関与取締役に提訴すること。

 以上の各点につき、本申入れ後1ヵ月以内に回答されることを求めるとともに、これに
対する貴社の違法・不正行為是正に向けての真摯な回答がなされないときは、これら事実
の解明と関与取締役の責任追及のため株主代表訴訟を提訴することも辞さない旨申し入れ
るものです。

        2003年12月9日

              NPO株主オンブズマン
              

 

株式会社 武 富 士
 代表取締役社長 清 川   昭 殿
     監査役 秋 吉 邦 雄 殿

  トップページへ戻る  株主呼びかけ文へ