株主オンブズマン通信第二号   (file.1124)    1996/5/25


第1号(4月5日発行)以降の主な活動

4月 5日 専門家会議
  〃   住専問題で日住金株主の会が公認会計士に緊急アンケート
      日住金取締役会議事録閲覧等の許可申請 第1回審尋(東京地裁)
4月16日 専門家会議
      日住金取締役会議事録閲覧等の許可申請 第2回審尋(東京地裁)
4月25日 専門家会議
4月30日 株主総会についてのアンケートを500社(日経500銘柄)に発送
5月 2日 専門家会議
5月 9日 専門家会議
      日住金株主の会・株主オンブズマン名で日本公認会計協会会長に要望書送付
      公認会計士への住専問題緊急アンケート結果報告を添付
5月13日 日住金本社で6月定時株主総会の株主提案議案を提出
5月22日 専門家会議

 

日住金株主 6月の定時株主総会に議案提案
 新聞等で報道されましたように、株主オンブズマンの呼びかけによって5月13日、住専最大手の日本住宅金融株式会社(本社・東京都千代田区霞ヶ関)の203万1000株の株主67名が、政府の住専処理案に反対する立場から、来る6月27日の定時株主総会に先だって「住専処理機構への営業譲渡及び会社解散決議に反対する件」など後掲の5議案を提案しました。

同日、株主提案を日住金本社に提出したのは、株主オンブズマンの森岡孝二(関西大学教授)、松丸正(弁護士)、竹橋正明(弁護士)の3名で、うち森岡と松丸は日住金の株主として6月27日の株主総会にも出席する予定です。大阪から上京した3人は、日比谷公園近くのダイヤモンドビル内の本社に行き、報道のカメラの列のなかを3階の応接室に入りました。会社からは取締役で総務室長兼総務部長の町田忠彦氏、総務室次長の星野晴彦氏、代理人の須藤修氏(弁護士)の3人が対応しました。わたしたちオンブズマン側の質問や要望に受け答えしたのは主として代理人の須藤氏でした。わたしたちは報道機関の前で議案を受理してほしいと要請しましたが、会社側からは特殊株主(総会屋)等から同様の要求をされたら断れなくなるという理由で謝絶されました。結局、閉ざされた部屋の中で提出せざるをすることになりましたが、会社からは、「議案提案という株主権の行使については重く受け止め、株主総会は十分に時間をかけてみなさんの意見をお聞きし、質問にお答えしたい、社長もそう言っている」という旨の返答がありました。

株主の最大の関心事である営業譲渡の件については、今後の住専処理法案の審議がどうなるかにかかっています。税金投入の予算が決まっても住専処理機構が出来ていない現状では、会社としても営業譲渡・会社解散の提案は出来ないものと考えられますが、株主オンブズマンとしては、会社から提案があろうとなかろうと、営業譲渡・解散決議反対の提案は維持することにしています。

株主提案は法にもとづく請求なので、会社としては5つの株主議案をそれぞれの提案理由とともに全株主に送付して、その賛否を問わなければなりません。総会に出席して議決権を行使する株主もいますが、出席しない場合は書面投票で議決権を行使することができます。とくに今回の日住金の株主総会は、個人株主が株数で50%を超えているうえに、大多数の個人株主が乱脈融資や粉飾決算に大きな怒りをもち、これまでの役員の責任追及もしないまま営業譲渡・会社解散を行うことに反対しておりますので、今回の株主提案に相当数の賛成が得られるのものと予想されます。会社提案の営業譲渡・会社解散の決議には書面投票を含む出席株主株数の3分の2以上の賛成を要しますが、会社提案に反対する議案に3分の1以上の賛成があれば、営業譲渡・会社解散の決議は阻まれることになり、税金投入を前提とした政府の住専処理策の重要な一角が崩れることになります。

株主オンブズマンでは、6月27日の株主総会で一人でも多くの株主が株主提案の議案に賛成して下さるよう呼びかけています。またそれと並行して、帳簿閲覧請求に必要な株数(総株数の100分の3、約420万株)を集めることを目標にさらに働きかけの範囲を広げていくことにしています。

日住金定時株主総会 株主提案議案

第1号議案 住専処理機構への営業譲渡及び会社解散決議に反対する件

(提案の趣旨)
 定時株主総会では、政府の公的資金の導入を前提とした貴社の営業譲渡及び解散決議が会社側から提案されます。しかし、右決議は貴社の役員の責任等を不問にしたまま貴社を解体するものであり、無原則な公的資金の投入に対する国民的批判を浴びるだけでなく、株主の利益もなく企業の法的責任を放棄するものです。私共は、さらに情報収集し貴社の役員並びに母体行や農林系金融機関の責任をも追及し、刑事責任だけでなく民事賠償を求めて貴社の財産の充実をはかるなどして、国民の納得のいく形で今後の処置を決めることが貴社及び株主の責務であると思い、そのため現段階での貴社の解体を回避すべく会社の提案に反対の決議を求めるものです。

第2号議案 定款の一部変更の件
 「第7章 監査役会」とあるのを、「第7章 監査役会及び調査委員会」と変更し、次のとおり第32条の2を追加する。
第32条の2(調査委員会)
取締役、監査役、社員の商法、証券取引法等一切の法令違反を含む非違行為について調査究明して、法的問題について総会に報告し、その他可能な法的な措置をとるため、調査委員会を設置する。調査委員会は弁護士、公認会計士、学識経験者よりそれぞれ若干名を取締役会で選任する。任期は2年とする。

(提案の趣旨)
 貴社では、金融機関としては考えられないような、無原則な融資が行われていたことが、大蔵省の調査報告書によっても指摘されています。また、群栄化学工業株式会社の株式の仕手戦に参加し、多額の損害を生じています。社内的、社外的にとりわけ適法且つ適正な業務執行が求められる金融会社にとっては許しがたい業務執行がなされたことを考えるなら、会社の綱紀を正し、非違行為を根絶するためには、過去の役員、社員によってなされた非違行為につき調査し、その事実と責任を究明し、法的責任のある役員に対しては、刑事及び民事責任一切を追求するよう進言する委員会が必要です。そして、社内関係者の委員による委員会によっては、その調査、究明がなされることは期待できないため、外部の専門家をもって構成した委員会を設置すべきです。

第3号議案 取締役選任の件
 つぎの3名を取締役に選任することを求めます。
 取締役候補者は次ぎのとおりです。
 1.森岡孝二(昭和19年3月24日生)有限会社株主オンブズマン代表取締役  関西大学経済学部教授

 2.木村陽吉(昭和3年9月7日生)有限会社株主オンブズマン取締役

 3.松浦米子(昭和12年4月28日生)有限会社株主オンブズマン・ボランティア会員市政監視市民グループ          「見張り番」代表世話人

(提案の趣旨)
 貴社の役員は、借主の返済能力、担保価値等につき、十分な審査をすることなく、杜撰な融資を行ったため、多額の不良債権を生じさせた責任があり、また有価証券報告書に不良債権の存在を隠匿するなどの虚偽の記載をなすことにより、株主や投資家に対し、損害を与えてきたものです。今後、適法かつ適正な業務意思決定を行うとともに他の取締役等を監視するためには、母体行等から独立した新取締役を選任することが不可欠であり、またそれが社会的批判に耐え、かつ貴社の利益に叶うことから右のとおり提案します。

第4号議案 監査役選任の件
 つぎの監査役1名を選任することを求めます。
 監査役候補者は次ぎのとおりです。
松丸 正(昭和21年9月25日生)有限会社株主オンブズマン発起人、専門家会員
     弁護士(大阪弁護士会所属)

(提案の趣旨)
 貴社の役員は、借主の返済能力、担保価値等につき、十分な審査をすることなく、杜撰な融資を行ったため、多額の不良債権を生じさせた責任があり、また有価証券報告書に不良債権の存在を隠匿するなどの虚偽の記載をなすことにより、株主や投資家に対し、損害を与えてきたものです。

 今後、適法かつ適正な会計監査及び取締役の職務執行監査を徹底するためには、従来の監査役では不充分であることは明らかであり、公明正大な人物を監査役に選任することにより、社会的批判に耐え、かつ株主の利益となる企業運営がのぞめますので、右提案するものです。

第5号議案 会計監査人の出席を求める件

(提案の趣旨)
不良債権の発生、その放置による増大、並びに有価証券報告書への不良債権についての虚偽記載については、監査証明をした会計監査人(監査法人)の出席を求め、質問し、回答を求めることが必要です。商法特例法第17条2項に基づき、会計監査人の出席を求めるものです。

日住金株主の所有区分

 5月2日の「毎日新聞」夕刊は一面トップで日住金について、「個人株主50%超す」「住専処理案に暗雲」「来月の株主総会・営業譲渡、不成立も」と報じています。この記事は本文のかなりの分量を株主オンブズマンの取り組み(日住金株主への呼びかけなど)に費やしていますが、株主オンブズマンの調査にもとづいて書かれたものではありません。「毎日新聞」の記事とさほど大きな違いはありませんが、参考までに株主オンブズマンが日住金本社から入手した株主名簿によって、以下に株式の所有区分を示しておきます。

所有者    議決権を有する株主数    議決権株式数      株式割合
個人株主     4,209(人)          74,659,000(株)     54.1(%)
母 体 行         9             44,405,000        32.1
一 般 行        50              6,961,000         5.0
生命保険       10               3,120,000         2.3
損害保険       10               1,032,000         0.7
証券会社       52               1,357,000         1.0
金融機関その他   30                799,000         0.6
一般法人      668               4,750,000         3.4
権利能力なき団体  18                 86,000         0.1
政府・公共団体    1                  7,000         0.0
国外居住者     53                1,036,000         0.7
合 計      15,110              138,212,000        100.0

【資料1】株主オンブズマン関連・新聞記事一覧(NIFTY-Serveで朝・読・毎・産各紙より検索)

朝日新聞記事データベース/G−Search 96年05月22日
◆96.04.11 朝刊 31頁 1社 写図有 (全1068字)
  決着?わけ分からん 住専予算、「見せかけ凍結」 【大阪】
◆96.04.11 朝刊 35頁 1社 写図有 (全2625字)
  結局玉虫色決着とは… 市民、なれあいに怒り 住専処理策先送り
◆96.04.12 朝刊 35頁 1社 写図無 (全180字)
  住専処理策反対の権利行使計画 株主オンブズマン
◆96.04.24 朝刊 1頁 1総 写図無 (全650字)
  日住金株主ら「営業譲渡に反対」 総会提案権行使へ 【大阪】
◆96.04.24 朝刊 35頁 1社 写図無 (全179字)
  株主オンブズマン、反対議案を提出へ 日住金の営業譲渡
◆96.05.13 夕刊 15頁 1社 写図無 (全427字)
  住専処理案反対の株主提案へ 日住金株主の委嘱で株主オンブズマン

読売新聞記事データベース/G−Search 96年05月22日
◆96.04.04 東京読売夕刊23頁 社会面(全772字)
  日本住宅金融の株主オンブズマンが役員に賠償請求へ 株主総会で貸し手責任追及
◆96.04.18 大阪読売夕刊14頁 写有(全1502字)
  末野興産社長逮捕 貸し手追及の糸口に 住専各社は「ノーコメント」
◆96.05.13 東京読売夕刊15頁 社会面(全959字)
 株主オンブズマンが日住金の解散に反対 5項目の総会議案提出

毎日新聞記事データベース/G−Search 96年05月22日
◆96.04.06 東京本紙朝刊 26頁 社会 写図無 (全152字)
 経営譲渡に反対、少数株主提案権−−日住金処理で、大阪の市民団体が行使へ
◆96.04.06 中部本紙朝刊 20頁 社会 写図無 (全271字)
経営譲渡に反対、少数株主の提案権を行使へ−−日住金処理で、大阪の市民団体
◆96.05.02 東京本紙夕刊 1頁 1面 写図無 (全534字)
日住金、個人保有株が50%超える−−「営業譲渡」不成立も
◆96.05.10 東京本紙夕刊 13頁 社会 写図無 (全626字)
「良識の府」のドタバタ劇 「国民、納得できぬ」−−住専予算、識者らは…
◆96.05.13 東京本紙夕刊 1頁 1面 写図無 (全858字)
日住金の株主、「処理機構への営業譲渡反対」など5議案を提出−−株主総会に提案

産経新聞記事データベース/G−Search 96年05月22日
◆96.05.07 夕刊 14頁 写真有(検索外追加)
金融破たん・今後を聞く 企業責任を徹底追及
◆96.05.13 夕刊 15頁トップ 写真有(検索外追加)
日住金に「反対議案」提出 株主オンブズマン 役員責任を究明
◆96.05.15 朝刊 9頁トップ 写真有(全1779字)
住専処理 法案審議入りが遅れれば遅れるほど… 地価下がり膨らむ損失

【資料2『週刊朝日』5月24日号、日住金株主の議案提案について報道
《見出し》住専最大手・日住金が震える株主の反乱−−政治家も官僚も頼りにならない
《リード》住専破たんの責任をうやむやにしたまま、臭いものにふたはできない。住専バスターズ「株主オンブズマン」の呼びかけに日住金株主が立ち上がった。その数200万株。母体行に次ぐ大口株主である。さらに株を集めて帳簿閲覧権の行使、株主代表訴訟と反乱は続きそうだ。


株主オンブズマン通信第二号(file.1124)終わり
□専門情報メニューへ戻る