株主オンブズマン通信第三号 (file.1125)   1996/10/16


号(5月22日発行)からの主な活動

5月24日 『週刊朝日』、株主オンブズマンを中心に「日住金が震える株主の反乱」を掲載
6月7日 拡大役員会、日住金個人株主全員への営業譲渡反対のハガキよびかけを決定
6月12日 拡大役員会、NHKテレビ「なるほど経済」(6・30放送)のビデオ収録
6月15日 日住金株主集会を開催、6・27株主総会を前に全国各地から30名余の株主が参加呼びかけハガキ      の宛名貼り・発送完了
6月27日 日住金株主総会に出席。会社解散に出席株主の3分の1近くの反対を集めるが、僅少差で否決にい      たらず
6月27日 日住金株主、有価証券報告書の虚偽記載による損害賠償請求訴訟を大阪地裁に 提訴
6月30日 NHKテレビ「変わるか株主総会」(「なるほど経済」)を放映

7月4日 高島屋の商法違反(総会屋利益供与)事件で、株主代表訴訟の弁護団を結成。
7月5日 高島屋監査役に同社役員の損害賠償を求めて、大阪弁護士会の民暴対策委員会 メンバーと株主代      表訴訟の事前通告
7月9日 拡大役員会、日住金株主総会などについて意見交換
7月14日 森岡代表、『朝日新聞』「論壇」に「企業改革は株主総会から」を投稿
7月23日 拡大役員会
7月29日 拡大役員会、高島屋事件および住友商事事件についての対応を検討
8月9日 拡大役員会合宿(箕面観光ホテル)、2月からの活動のまとめと今後の方針に ついて検討
8月15日 株主オンブズマン編『株主オンブズマンは何をめざすか』かもがわブックレット、発刊
8月16日 大阪弁護士会民暴対策委員会メンバーと共同で、高島屋役員に対し株主代表訴訟を提訴
8月20日 森岡代表、日本経済研究センター大阪支所で「企業活動の民間監視と株主オンブズマン」について      講演、同会報761号(96.10.1)に掲載
8月29日 株主総会アンケート結果報告「株主重視の株主総会を求めて」を発表
9月9日 日住金株主・損害賠償請求裁判、第1回弁論
9月11日 『日経金融新聞』、株主オンブズマンの活動を紹介
9月25日 拡大役員会
9月26日 住友商事株主総会の決議取消・無効確認を求めて大阪地裁に提訴
9月26日 日住金の粉飾決算疑惑に関する会計・監査研究者へのアンケート結果報告
10月4日 本会会員が株をもつ185社に政治献金差し止めの申し入れ(文書送付)
10月16日 拡大役員会、住商銅取引事件への対応について検討

日住金株主総会、営業譲渡・会社解散の否決ならず

今では旧聞に属しますが、去る6月27日、日住金株主総会が開催され、住宅金融債権管理機構への営業譲渡の特別決議が賛成71.4%、反対28.6%で可決されました。営業譲渡は総株式数の過半数が出席(書面投票を含む)する総会で、出席株式数の3分の2以上の賛成を得ることが商法上必要とされていますので、あと4.7%の株式数が反対に加わると、会社提案は否決された可能性がありました。その点でかえすがえすも残念であり、ご協力いただいた株主のみなさんや、ご支援いただいた市民のみなさんに本当に申し訳なく思っております。

振り返ってみれば、2月8日の「株主オンブズマン」設立以来の、日住金を中心とする住専問題への私達の取り組みは日本の株式会社史上に前例をみないものでした。

 私達が2月10日と3月9日の2度にわたって実施した「銀行・住専株主110番」には、226人の株主・市民から、政府・母体行・住専への怒りの声や、私達への激励の声が寄せられました。このときも、その後も、訴えや相談は日住金株主からが圧倒的に多く、第1回目の110番から株主総会前日までの、日住金株主からの私達への電話連絡は延べ1000件を超えています。なかには、株価の行方や株の売り時に関する問い合わせも若干はありましたが、大多数の相談は、株券は紙屑のようになったが、株主として会社に情報開示を迫り経営者の経営責任を追及する道はないだろうか、というものでした。

 私達は、個人株主の利益を守る立場から、株主名簿の閲覧請求、取締役会議事録の閲覧許可申請、株主議案の提案と賛同の呼びかけ、帳簿閲覧請求の準備(委任状集め)などを行ってきました。商法上のこれらの権利は株主の利益を保護する意味をもっていますが、私達の今回の活動からわかったところでは、個人株主はこれまでこうした株主権を行使した経験がほとんどなく、株主ならだれでもできる議決権行使ハガキによる書面投票さえ「書き方がわからない」とか、「送ったことがない」といって相談してくる株主の方が少なからずいました。この点で、私達の今回の取り組みは、日本の株式会社史上において、個人株主が数を力にして株主権を集団的に行使するという貴重な経験を残したといってよいでしょう。

これもご承知のように、日住金を含む住専7社は、8月31日、住宅金融債権管理機構(中坊公平社長)との間で、営業譲渡に関する契約を結びました。私達は株主総会への取り組みと並行して、役員の責任追及のために株主代表訴訟等の準備をしてきました。しかし、それも会社解散にともない、日住金役員を直接相手取ってすることはできなくなりました。今となっては、住宅金融債権管理機構に対して、不正融資の実態解明や、役員の責任追及や、借り手の資産隠しの摘発などのために厳しい姿勢で取り組んでもらうよう要請するしかありません。

日住金役員・会計監査人に株主損害賠償請求訴訟を提訴
日住金株主総会日の6月27日、日住金株主の訴えを受けて、同社の有価証券報告書の虚偽記載による損害(債務超過を隠して形成された価格で株を買い、後にそれが明らかになって株価が暴落したことによって被った損害)の賠償を求める訴訟が起され、9月9日に第1回弁論が開かれました。

高島屋役員に対し株主代表訴訟を提訴
 7月5日 高島屋監査役に同社役員の損害賠償を求めて、株主代表訴訟の事前通告を行いましたが、その後予告期間内に会社側から何の所作もとられなかったので、8月16日、大阪弁護士会の民暴対策委員会メンバーと共同して、同社役員に対し株主代表訴訟を提起しました。
 第1回弁論は11月27日午前10時より大阪地裁201号法廷で開かれます。

株主総会アンケートまとまる
 株主オンブズマンは、6月末の株主総会集中期を前に上場企業500社(日経500銘柄)を対象に株主総会の位置づけや持ち方についてアンケート調査を行い、その結果を「株主重視の株主総会を求めて」と題する報告書にまとめて発表しました。アンケートの回収率は19%(500社中95社)にとどまりましたが、この調査から回答企業の82%は6月末の同一日に株主総会を開催している、株主総会の82%は所要時間が1時間未満の「シャンシャン総会」である、株主総会に際しての株主からの事前質問も総会当日の会場発言もまったくない企業が全体の半数以上にのぼっている、といったことが明らかになりました。

 報告書は、株主総会の改革のために、1)株主総会のマスコミへの公開、2)大学生の見学者としての参加、3)議決権の代理行使の制限撤廃、4)書面投票制度の改善、5)使途秘匿金の開示、6)役員の報酬および退職金の開示、の6項目について提言しています。
調査結果の詳細をお知りになりたい方は、上記事務所までご連絡下さい。

住宅金融債権管理機構への要請署名を呼びかけ
 9月の活動として、私達は日住金株主の会とともに、住宅金融債権管理機構に対して、不正融資の実態解明や、役員の責任追及や、借り手の資産隠しの摘発などのために厳しい姿勢で取り組んでもらうよう要請するために、これまで私達と連絡のあった日住金株主に往復葉書で要請署名をお送り下さるよう呼びかけてきました。その結果、240名余の株主の署名が集まりましたので、管理機構の中坊社長に前述の趣旨の申し入れを行いました。

 

住友商事株主総会の決議取消・無効確認を求めて提訴
 住友商事は事件発覚直後の6月27日に今年の株主総会を開催しました。しかし、総会議場は優先入場した社員株主で占められて、ほとんどの一般株主はモニターテレビはあるがマイク施設のない第2会場に入場させられ、総会は社員株主の「議事進行」「異議なし」の声の中で38分で終了しました。そのうえ、総会では、事件についての経営者責任を不問にして、退職取締役への退職金の支給を金額を示さないまま取締役会に一任する議案を、一般株主に質問機会も与えずに可決しました。このような株主平等と情報開示の原則に反する住友商事の今年の株主総会にたいして、株主のひとりが株主オンブズマンの支援を得て9月26日に大阪地方裁判所に総会決議の一部の取消と無効確認の訴訟を提起しました。また、これに続いて、銅取引事件についての株主代表訴訟の準備も進められています。
第1回弁論は11月20日午前10時より1006号法廷で開かれます。多数の方の傍聴をお持ちしています。

企業政治献金について185社に申し入れ
 新聞報道等によりますと、総選挙を目前に控えて、自民党などの政党より企業および業界団体に対して政治献金の要請がなされています。

しかし、現在では政党助成法が制定され、各政党に対しその政治活動をなすに必要な政党交付金が国庫から支出されています。にもかかわらず、企業献金をなすことは、金権腐敗政治を生み出し、政党の健全な発展を歪め、民主主義を阻害する恐れがあります。政党助成法が企業・団体献金の将来的廃止をふまえて制定された経緯を考えるなら、このことは自明の理だと言わなければなりません。

 しかも、株式会社は多様な政治的信条を有する株主の出資により存在する組織であり、特定の政治的信条を有する特定の政党に対して政治献金をなすことは、株式会社のあり方からも許されないことです。あえて特定の政党に企業人として政治献金をしようとするなら、個人献金をもってなすべきであり、本来は株主への配当等に充てられるべき会社の資金をもってなすべきではありません。

 こうした趣旨から行った今回の申し入れでは、対象会社の株を本会の会員が所有していることから、「貴社が政治献金をしたときにはその支出に対し、株主代表訴訟を弁護士に委任して提起する意思を有していることを申し添えます」として、私達の姿勢をお伝えしました。

<当面の取り組み>
*本会のメンバー以外の弁護士や学者にも呼びかけて、企業の政治献金問題についての研究会を発足させます。
*住友商事の株主総会と銅取引事件に関して外国人株主と日本人株主にそれぞれアンケー ト調査を実施します。
*住商銅取引事件に関する代表訴訟の準備の一環として、外国の新聞・雑誌の関連記事を 集めを行うとともに、デリバティブの仕組みの勉強会をもつ予定です。

◎株主オンブズマン編ブックレット『株主オンブズマンは何をめざすか』(かもがわ出版)が発売  中です。
◎リーフレット「株主オンブズマンごあんあい」(A5・8ページ)ができました。英文の紹介も付いています。せいぜいご活用下さい。ご入り用の方は事務所までご連絡を。


株主オンブズマン通信第三号(file.1125)終わり
□専門情報メニューへ戻る