2000年版株主総会質問マニュアル
  ――市民が共感できる株主総会をめざして――


 株主総会の改革は21世紀を前にした日本企業の重要な改革課題の一つです。経営者は、株主総会を株主との対話の場として位置づけ、たくさんの株主の声を聞いたうえで21世紀に向けての経営判断を行うべきではないでしょうか。
 一方株主も、株価や配当に関心を持つだけなく、自分が株式を保有している企業がどのような経営活動を行っているのかについて広く注意を払い、株主総会に進んで参加し、積極的に質問をしていくべきときです。株主は議決権を有するのはもちろん、質問する権利を持っており、経営者はそれに答えなければなりません。質問に対する無視や言い逃れを許さないためには、事前に書面で質問事項を送っておくとよいでしょう。商法の第237条3の2項には、「取締役・監査役の説明義務」が定められており、株主が総会日より前に書面により説明を求むべき事項を通知したときは、取締役および監査役は、調査を要することを理由に回答を拒むことはできない、とされています。
 株主が活発に発言して総会を活性化させることは、必ずや経営者の違法・不正行為や誤った経営判断に対する大きな抑止力となり、ひいては企業活動の健全化とよりよい市民社会の形成の一助となるはずです。
 本会は、1996年の設立以来、株主総会の改革に向けてさまざまな提言や取り組みを行ってきました。そこで、以下では「市民が共感できる株主総会」の実現を目指して、
  1.株主総会のあり方について、
  2.企業の情報公開について
  3.役員と雇用について、
  4.環境問題と社会的責任について
という4つのテーマを柱に、50項目の2000年版株主総会質問マニュアルをお届けします。これを参考に活発な質問がなされることを期待しています。

 1.株主総会のあり方についての質問
( 1)株主総会開催を、株主総会集中日より前後にずらすことはできないのでしょうか。
( 2)社員株主を動員しての総会リハーサルはやっていますか。何回やりましたか。

( 3)社長が総会の議長を務めるのではなく、中立な立場の人物を選出すべきではないでしょうか。
( 4)総会を開かれたものとするために、議場に記者席を設けるなどしてマスコミに公開すべきではないでしょうか。
( 5)質問には一括回答ではなく、一問一答にすべきではないでしょうか。
( 6)営業報告書をただ読み上げるだけでなく、時間をかけて丁寧にわかりやすく説明すべきではないでしょうか。
( 7)株主総会招集通知の発送の時期を早めて、株主の議決権行使に時間的余裕を与えるべきではないでしょうか。
( 8)議決権行使にあたって賛成票及び反対票の票数を具体的に開示してください。
(9)従来の議決権行使制度を改め、秘密投票制度の導入・第三者による集計・棄権制度の導入を行うべきではないでしょうか。

 2.企業の情報公開について
(10)役員(取締役・監査役)の報酬および退職慰労金について役員毎に個別の金額を開  示してください。
(11)役員報酬および退職慰労金はその功績によって支給されるべきものであり、ただ基準を決めて取締役会でお手盛りで決めるのではなく、広く株主の声を聞いた上で総会で議決するべきではないでしょうか。
(12)税務調査で使途不明金とされた金額があれば開示して下さい。
(13)会社が原告または被告となっている訴訟について情報を開示してください。
(14)昨年度に公正取引委員会から排除勧告を受けていませんか。
(15)役員に対して株主代表訴訟を提訴されていますか。
  いればその内容を開示してください。
(16)接待交際費について内訳と内容について開示してください。
(17)接待について内部規定を定めているならばその内容を開示してください。
(18)政治献金を行っているならば、相手先と金額を示してください。
(19)官僚からの天下りを迎え入れていますか。いれば人数と報酬を開示してください。
(20)相談役や顧問がいるとすればどのような基準によるものですか。
(21)顧問や相談役の勤務内容や報酬について開示してください。
(22)投資先・出資先の企業に対する株主総会における議決権行使の基準と前年度の議決権行使の結果を開示してください。

3.役員と雇用について
(23)経営の意思決定を迅速かつ的確に行うために、執行役員制度を導入するなど取締役の人数を減らすべきではないでしょうか。
(24)取締役会には当社及び関係会社から全く独立した地位にある取締役を構成メンバーに加えるべきではないでしょうか。
(25)監査役には当社及び関係会社から全く独立した者を指名すべきではないでしょうか。
(26)役員の定年退職制度は導入されていますか。また、厳格に実施されていますか。
(27)取締役会の構成・開催回数・出席率および運営方法について説明してください。
(28)業務執行の監督や調査、役員の報酬や退職慰労金の算定などを行う機関を社外取締役を中心に設置すべきではないでしょうか。
(29)従業員のリストラ計画について開示してください。
(30)人員削減を実施するならばまず役員から率先して範を垂れないのはなぜでしょうか。
(31)取締役に女性を登用する用意はありますか。
(32)女性管理職の比率と女性の雇用条件改善に向けての具体的な取り組みを示してくださ   い。       
(33)昨年度に社内で過労死事件(過労自殺を含む)は発生しましたか。その防止への取り組みについて示してください。
(34)労働時間短縮と時間外労働削減への取り組みを示してください。
(35)障害者の法定雇用率は達成していまますか。そのための具体的取り組みと雇用納付金の金額または雇用調整金の金額を開示してください。
(36)社内でセクシャルハラスメント事件は発生していますか。その防止のための取り組みを示してください。
4.環境問題と社会的責任について
(37)シリーズ(The Coalition for Environmentally Responsible Economies :CERES 環境に責任を持つ経済のための連合)原則の採択する用意はありますか。
(38)当社では環境に対する経営のガイドラインを独自に定めているでしょうか。
(39)産業廃棄物の削減・発生抑制のための取り組みについて示してください。
(40)オゾン層破壊物質の使用抑制・全廃に向けた取り組みについて示してください。
(41)リサイクルや省エネルギー推進についての取り組みを示してください。
(42)環境保護商品・エコマーク商品の開発や導入についての取り組みを示してください。
(43)地域社会への貢献策としてどのような取り組みを行っているか示してください。
(44)途上国での工場開設にあたって、労働条件や衛生基準はどのように策定されていま  すか。またその環境基準は日本に準じているのでしょうか。
(45)海外向け投資の中で、人権抑圧国へのものは含まれているでしょうか。含まれているな  らば具体的金額や今後の対応についてしめしてください。
(46)ISO14001シリーズでの規格取得への取り組みを具体的に示してください。
(47)ボランティア休暇制度は導入されていますか。具体的な活動例を示してください。
(48)役員のボランティア活動を具体的に示してください。
(49)環境にやさしい企業として特に配慮し取り組んでいることを具体的に示してください。
(50)法令遵守と経営倫理の実現のために、外部の弁護士事務所や弁護士会の協力を得て特別委員会を設置する用意がありますか。 


マニュアル作成日(平成11年6月14日)
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