創立10周年記念講演会を開催して

2006年10月28日

株主オンブズマンは、去る10月11日(水)午後6時〜8時半、大阪市住まい情報センターで、ロナルド・ドーア先生をお迎えして創立10周年記念講演会を開催いたしました。大阪の企業関係者や本会のサポーターをはじめ100名を超える出席者を得て、盛会のうちに終えることができました。みなさんのご協力に心よりお礼を申し上げます。

ドーア先生の講演は、近著『誰のための会社にするか』(岩波新書)の要点をパワーポイントで図示し、近年のM&Aの横行や会社法の改定のなかで、日本の会社制度と職場に何が起きてきたのかをわかりやすく述べ、企業と労働のあり方に警鐘を鳴らすものでした。話の中では株主オンブズマンの果たした役割にも触れられ、多くの参加者から「考えさせられた」「感銘を受けた」という感想が寄せられました。

また、先生は、近年、日本では「準共同体企業」から「株主所有物企業」への傾斜が著しく進んだことを明らかにされ、最近では配当や役員報酬は大幅に増えたのに、従業員の賃金は下がってきたことを問題にされました。そして、こうした動きにブレーキをかけるために、(1)M&Aにステークホルダーの声を反映させる企業買収審査会の設置、(2)従業員の経営参加のための労使協議会の再編・強化、(3)有価証券報告書に配当、賃金などを比較できる付加価値会計の盛り込み、を提案されました。

株主オンブズマンは、設立から10年経った今も、少数の専門家と市民株主が構成する小さな市民団体にすぎません。近年の日本企業の動きを見ると、腹立たしく思うとともに、私たちに何ほどのことができるだろうかと考えれば、むなしささえ覚えます。しかし、私たちが声を上げたからというではありませんが、日本経団連の会長を出している企業が違法な偽装請負を大規模に利用してきたことが明らかになって大きな問題になっています。また一時期、時代の寵児であったライブドアの堀江貴文氏と村上ファンドの村上世彰氏は今は証券取引法違反容疑で責任が問われています。こういうことがあるかぎり、私たちが会社ウオッチの活動を続けていく意味はまだまだなくなっていないと思います。

ソニー取締役会に役員報酬の個別開示を求める2006年の株主提案は、議決権行使株数の5割に近い46.7%の賛成を得ることができました。2004年31.2%、2005年38.9%という伸びから考えて。来年は過半数を超えることはほぼ間違いありません。定款変更の形をとった株主提案の可決要件は3分の2(66.7%)以上の賛成ですが、そうなる前にもソニーは提案を受け入れざるを得ないでしょう。

今後とも私たちの活動をご支援くださいますようお願い申し上げます。

2006年10月28日

株主オンブズマン代表 森岡孝二

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