ミドリ十字株主代表訴訟 経過報告   弁護士 岸本達司

1 訴訟名/ミドリ十字株主代表訴訟
2 原告/
3 原告弁護団/大阪HIV訴訟弁護団 団長松本剛
4 被告役員/当時の代表取締役七名を含む取締役計九名
5 被告弁護士/大江 忠、鎌倉利行 外二名
6 請求の趣旨/被告らに対し、連帯して金二四〇億円の支払を求める。
7 提訴日/一九九六年八月九日

8 係属裁判所/大阪地方裁判所 

9 担保提供の有無/第一回口頭弁論期日の三日前(九六年十月)になって、被告らから担保提供の
    申立がなされた。本件以外に、東京の弁護士が代理人を務める他の株主を原告とする代表訴訟が
   提訴されていたところ(以下「東京訴訟」という)、同訴訟についても担保提供の申立がなされた。

  被告らは担保提供を求める理由として、被告らの業務義務違反について、具体的主張が欠落してい
  ること、被告らの行為と請求金額との間の因果関係の主張が欠落していることなどを主張した。
  その後、原告と被告らの間で、担保提供に関する主張のやりとりをしたところ、本年二月、被告ら
  は、本件の原告についての担保提供の申立を取り下げた。

 一方、東京訴訟については、担保提供申立が維持され、本年三月二十一日、取締役一人当たり二〇
  〇〇万円の担保提供が命じられた(認容総額七億円)。

10 問題の取締役の行為の内容/医薬品の製造販売を行う会社の取締役は、医薬品の安全性が損なわ
  れれば、直ちに人の生命身体を害する危険があることから、その業務執行に当たっては、医薬品の
  安全性確保に関して極めて高度の注意義務が課せられている。
 しかるに、被告ら取締役は、非加熱濃縮製剤によるエイズ感染の予見が可能であったにもかかわら
  ず、非加熱濃縮製剤の販売を継続した。しかも、被告ら取締役は、非加熱製剤の危険性を隠蔽し、
  当時の科学的知見に反した虚偽の安全宣伝を繰り返し、自社製品の販売促進・維持を図った。
 また、被告ら取締役は、安全な加熱製剤が承認された後も非加熱製剤の回収を怠ったばかりか、
 その販売を続けていた。

11 手続きの現状/本件訴訟は、本年五月二十八日に、口頭弁論期日が指定されており、ようやく
 実体審理が始まる。被告ら取締役は、現段階では、請求原因に対する認否をしていないが、争って
 くることは確実である。
 去る三月二四日、大阪地裁で行われたミドリ十字歴代三社長に対する業務上過失致死事件の第一回
 公判において、三社長(松下、須山、川野各氏)は、事実関係を認めた。本件のこの三社長も含ま
 れているところ、刑事事件において公訴事実を認めたこととの関係で、被告ら取締役が、如何なる
 認否をするのか注目される。

ミドリ十字株主代表訴訟経過報告 終わり
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