ハザマ株主代表訴訟 経過報告    弁護士 松丸 正

 三和町長への贈賄についての判決は、一九九四年十二月二十二日下された。多くのマスコミも報じ
たように、企業社会の非常識の論理を市民社会の常識の論理で裁いた判決であった。
 被告の取締役兼東関東支店長は、賄賂を支出してもそれが「経営活動の一環であるとの認識の下に
行われ、現実に会社に利益をもたらし、業界の状況によって賄賂をしなければならないような状況が
ある場合」は、善管注意義務に反しないと主張した。
 これに対し判決は、贈賄を営業の手段とすることはおよそ許されるべきでないのは当然であり、それ
で利益がもたらされる等の理由で正当化しうるべきではない、と断じている。賄賂による受注利益に
ついての損益相殺の主張に対しては、工事を受注して得た利益は工事を施行したことによる利益であっ
て、贈賄による損害を直接填補する目的機能を有するものではない、として相当因果関係がないとして
いる。判決は、弁護団がこの訴訟でめざしていた、市民型代表訴訟によって、企業の論理に対する市民
の論理による有効な異議申立ができることを示した、と言えよう。さらに一九九五年九月二十一日には
、仙台市長への贈賄の件につき、社長が請求金額全額を会社に支払うとともに原告の請求を認諾し、更
に一九九六年十二月六日には、茨城県知事への贈賄の件についても会長が四五〇〇万円を支払うことを
認諾することにより訴訟は終結している。
 この事件のなかで生まれたゼネコン株主代表訴訟弁護団(大阪と東京)を母体にして、この訴訟によ
りハザマから支払われた弁護士報酬の一部を資本金に充てて有限会社株主オンブズマンは設立されてい
る。
1 訴訟名/ハザマ株主代表訴訟
2 原告/
3 原告代理人弁護士/
4 被告/大津留孝(東関東支店長)、本田 茂(会長)、加賀美彰(社長)ら
5 被告代理人弁護士/
5 請求の趣旨/合計九九〇〇万円の返還請求
7 提訴日/一九九三年十月一日
8 係属裁判所/東京地方裁判所
9 担保提供の有無/担保提供申立はなし
10 取締役の行為/三和町長、仙台市長、茨城県知事に対する贈賄行為についてのわいろ相当額の返還
  請求
11 争点/商法改正により、訴訟手数料が一律八二〇〇円となった日に提訴した。市民型代表訴訟の一
  つの典型をつくりあげた訴訟。

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