日航障害者雇用裁判ニュースNo.1             2000年3月15日

 3月8日、東京地裁で、日本航空に対する障害者雇用裁判の第1回弁論がありました。今回は、原告
代表が別掲のような簡単な意見陳述を行ったほかは、被告側代理人から答弁書が提出され、次回日程
(5月11日、午後1時半、706号法廷)を確認して終わりました。
 訴状に対する被告側の答弁書は、本文29ページと5枚の付表からなる大部のもので、この裁判に日航
がずいぶん構えて臨んでいることを示しています。
 答弁書では、日航は同社の1999年6月1日現在の障害者雇用率は法定雇用率1.8%を下回る1.29%で
あること、および1998年度分として4625万円の障害者雇用納付金(不足人数1人に対して月額5万円)
を支払ったことを認めています。しかし、日航の取締役に障害者雇用法に定められた雇用率を達成す
べき義務があること、また、納付金の支払いを回避すべき善管注意義務があることは認めていません。

 答弁書での日航の弁明はほとんど「除外率」の問題に終始しています。障害者雇用法の適用にあたっ
ては、障害者雇用が民間企業に義務づけられた1976年以来、労働省令で、一定の職種を障害者の就労が
困難な「除外職種」に指定し、業種により一定の「除外率」で計算された人数を障害者雇用率の算定の
分母となる常用労働者数から減じる措置がとられてきました。航空運輸業の除外率は25%とされていま
すが、日航は、これを実態に即していないというのです。
 25%の除外率で計算した場合の日航の障害者雇用率は、会社資料によると、1990年から0.92%、1999
年1.29%でありました。これが法定雇用率の達成義務に反していることを否定するために、日航は運航
乗務員(パイロット)および客室乗務員のみならず、航空機整備要因まで「除外職種」とみなし、また
勝手に「実態に即した除外率」を1999年については「61.8%」とし、それを前提とする雇用率は2.53%
に達すると強弁しています。
 しかし、これは二重の意味で成り立たない議論です。第1に、民間企業の障害者雇用の義務化ととも
に、
除外率が定められて今日までの20数年の間には、ME化や情報化により、劇的な技術変化があり、作業
内容や作業環境が大きく変わりました。その結果、かつては困難とされた職種であっても、いまでは障
害者が就労できるようになってきています。日航の除外率の考えかたは、そういう変化をまったく無視
し、完全参加と平等への世界の障害者雇用の流れに逆らうものです。
 第2に、航空運輸業の25%という除外率は、それが設定された当時は行政判断からみて実態に即した
ものであったと考えられます。それがもし実態に則さなくなってきたとしたら、その原因は、日航が分
社化や子会社化によるアウトソーシングによって、主に地上職の社員の割合を減らしてきたことにある
と推定されます。日航の提出した資料では同社の常用労働者は1999年で19,421人とされていますが、日
航のリストラ計画に関する最近のニュースでは、子会社を含めて連結でみた場合の従業員数は3万2000人
に上ると伝えられています。日航で働く障害者の多くは特例子会社の「JALサンライト」に雇用されて
います。雇用率を示す場合、計算式の分子に子会社を入れるなら、分母にも子会社を含めるべきです。
 今回、日航が提出した資料によれば、同社が1989年度からの10年間に支払った障害者雇用納付金の総
額は4億9940万円にものぼっています。これに対して日航は、納付金は障害者雇用促進のための「共同拠
出金」であり、「他の事業主の障害者の雇用の条件整備に必要な資金を提供する……有意義な行為である」
と言い訳をしています。しかし、この言い分は自らの責任を棚上げにして、カネですませてなぜ悪いと
開き直る論法だといわねばなりません。
  次は株主のわたしたちがこれに反論する順番です。

(日航の答弁書の前文を入手ご希望の方は、EメールかFAXで本会までご連絡下さい)