上場企業障害者雇用実態調査の発表にあたって   
―株主オンブズマンの提言―


 「障害者雇用法」は国および地方公共団体を含むすべて事業主に対して一定割合以上の障害者の雇用を義務づけている。民間企業については、1998年7月1日より法定雇用率が1.6%から1.8%に引き上げられた。しかし、労働省調査によれば、98年6月1日現在の民間企業の実雇用率は規模平均で1.48%にとどまっている。厚生省の96年調査によれば、18歳以上の身体障害者は293万人、知的障害者は29万人(在宅者)を数えるが、98年6月1日現在の障害者の雇用数は、重度障害者のダブルカウントを含めて30万1665人(うち民間企業は25万1443人)にすぎない。公共職業安定所の全国集計では、97年度中に約7万7千人の障害者が新規に職を求めたが、就職できたのは約2万8千人であった。求職登録をしながら就職の機会がない障害者は98年3月末現在で約10万3千人にのぼる。

 株主オンブズマンは、民間企業の法定雇用率が1.8%に引き上げられたことをうけて、1998年12月から99年1月にかけて、電力10社、ガス
11社、建設62社、銀行117行、一般199社(日経225から電力・ガス・建設・銀行の重複分を除いた数)、計399社に対し障害者雇用の実態調査を実施し、その後2度にわたり追加回答を呼びかけ、5月末まで247社から回答を得た。その結果、調査対象の上場企業の障害者雇用率は1.56%にとどまり、70.2%の企業は改訂された法定雇用率を達成できていないことが明らかになった。調査対象のうち回答のなかった企業を含めるなら、未達成企業の割合はさらに高くなるものと考えられる。これらの数字は障害者雇用が進んでいない理由の一つは大企業の消極的な雇用態度にあることをあらためて裏付けている。こうした調査結果をふまえ、本会は障害者雇用を促進するために、以下の提言を行うものである。

 1.上場企業は障害者雇用が企業の社会的責任であると同時に法的義務であることを自覚して、働く意欲と能力をもつ障害者に対し、完全参加と平等を保障するよう、職場環境の改善、求人活動の強化などを通して、積極的に雇用の場を創出する。

 
2.上場企業は障害者法定雇用率の達成状況について、未達成時の納付金および達成時の調整金の額とともに、株主総会および有価証券報告書に開示する。

 3.政府・労働省は、公共職業安定所を通じた紹介斡旋の改善や、障害者の通勤・在宅労働その他の社会環境の条件整備に努め、障害者を雇用しようとする企業が必要な雇用数を確保できるように支援する。

 
4.労働省は、障害者雇用に著しく消極的な事業主に対する雇い入れ計画命令の発出範囲を拡大し、また公表制度を積極的に活用し、法定雇用率を達成していない企業に対して厳しく指導・監督する。

 
5.政府・自治体は、障害者雇用に著しく消極的な企業を公共調達の対象から除外し、当該企業との商業的な契約や取引を停止する措置をとることによって障害者雇用を促進する。

 株主オンブズマンは、一般株主の立場から企業に対する監視・評価活動を行っている
市民団体として今後とも障害者雇用の促進のために努力していく所存である。
1999年6月1日


☆障害者雇用の実態調査結果については専門情報をご覧ください。

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