ソニー株式会社の株主のみなさんへ



 拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 私たちは、2005年6月のソニー定時株主総会に報酬額上位5名の取締役の個人別報酬額を開示することを求める株主提案を行っている特定非営利活動法人(NPO)の株主オンブズマンです。

 私たちはソニー取締役会に役員報酬に関する情報開示と透明性を求める立場から、過去3年にわたり当社株主総会に役員報酬の個別開示を求める株主提案を行ってきました。すべての取締役および執行役の報酬の個別開示を求めた昨年の提案は、ご承知のように、議決権行使株数の31.2%の賛成を得ることができました。

 この結果を受けて、2005年1月28日、私たちは、役員報酬の個別開示の速やかな実行を求めて、ソニー本社において、真崎晃郎取締役と対話を持ちました。私たちはソニーの執行役・専務の地位にある取締役が話し合いに応じていただいた以上、個別開示の実現に向けて何らかの歩み寄りがあるものと期待しておりましたが、真崎取締役の対応はそうした期待を裏切るものでした。私たちとの対話のなかで、彼は大要次のように主張しました。

 すなわち、株主提案に賛成している株主(株数)の大多数は、報酬開示が義務づけられている海外機関投資家である。アメリカの株主が賛成しているからといって、日本の株主が賛成していることにならない。取締役のプライバシーを犠牲にして報酬を個別開示することがコーポレート・ガバナンスの改善に寄与するとは考えていない。

 これは役員報酬の日本的な秘密主義に固執して、世界の証券市場の流れに背を向ける態度であり、グローバル企業としてのソニーの世界的な信用を傷つけ、評価を下げるものです。私たちは近年のソニーの業績が振るわず、株価が低迷していることも、ガバナンス改革に後ろ向きの経営姿勢と無関係ではないと考えています。

 しかし、すでに発表されているように、今年の株主総会では、出井伸之現会長が退き、現副会長のハワード・ストリンガー氏がCEOに就任し、他の取締役も大幅に交代することが予定されています。私たちは世界のマーケットを熟知したストリンガー氏が、取締役報酬の個別開示のためにイニシアティブを発揮することを期待しています。

 アメリカでは一定規模以上の企業は少なくともCEOを含む上位5名の役員の個人別報酬額を株主総会招集通知に記載することが義務づけられています。同様の個別開示はイギリス、フランス、オーストラリア、南アフリカ、香港などにも広がっています。私たちは、日本を代表するグローバル企業のソニーが、経営陣を一新するこの機会に、世界の流れに沿って、取締役報酬の個別開示に踏み切ることを切望しています。

 ソニーのような委員会等設置会社では商法特例法(第21条の11)の定めにもとづき、報酬委員会が取締役および執行役の報酬を個人別に決定することになっています。報酬委員会が決めた役員の個人別報酬を株主に知らせることは、企業業績と役員報酬、および役員の個人的貢献と個人報酬額の連動性を明確にし、経営の透明性を確保するために不可欠です。取締役の報酬の個別開示は日本でも日興コーディアル、東京エレクトロン、Peopleなどですでに行われています。

 私たちはソニー取締役会が受け入れやすいように、今回は報酬額上位5人の取締役報酬の個別開示を求める提案を行うことしました。取締役会がこの提案を受け入れて実行に移すことを妨げる障害はないはずです。しかし、株主のみなさんのご支持とご協力がなければ株主提案の実現に向けて取締役会を動かすことはできません。

 以上の趣旨をよろしくご理解のうえ、取締役報酬の上位5人の個別開示を求める私たちの株主提案にご賛成くださいますようお願いいたします。


                          2005年5月23日

株主オンブズマン代表

森岡孝二(関西大学教授)


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